猛暑で熱中症が心配な夏。
夏山は100㍍高度が上がると気温が
0.6度下がるといわれているので、
本来は涼しいです。
でも、ここまで地上が暑いと山も心配です。
山で一番多い遭難事故は、
何かご存知でしょうか?
それは道に迷う遭難です。
元の道に戻る、沢を下らない
著名な山より、低山での事故が多いです。
その際、多くの人が引き寄せられるように
危ない場所に行ってしまうことが多く
報告されています。
山で、道に迷ったときは、
「元の道を戻ること、そして沢を下ってはいけない」
という二つの鉄則があります。
下ると麓に出ると考えがちですが、日本の山で
間違った道を下ると、ほぼ確実に沢に出ます。
沢の真上は木々に覆われていないので、
道のように気持ちよく歩けそうに思って
進んでしまいます。
そうすると、やはり間違いなく滝に出ます。
そこで気付いても元に戻れず、滑落や低体温で
命を落としてしまいます。
だから、迷ったら必ず引き返す、沢を下らない
のが鉄則です。
尾根に上がれば視界が広がり、登山道が通って
いるものです。
でも、それが分かっていても、沢を下って
しまう人が後を絶ちません。
防災では「正常性バイアス」という
言葉があります。
自分にとって都合の悪い状況を過小評価して
しまう心理状態です。
「この先、沢。危険」と書いてあったのに
「今日中に家に着かなくては」
「まだ危なくないだろう」
「遠くに家の屋根が見えるから大丈夫なはずだ」
と、なぜか危険であることを無視して
都合のいい解釈をします。
山の遭難は、実は災害時と同じ心理状態で
起こっているのです。
パニックにはなっておらず、落ち着いて
考えているように見えても、人は危険を
無視してしまう傾向があるということを、
ぜひ、知っておいてください。