傷付きやすい側面も
子どもは褒めることでやる気になり、
成長・発達が促されます。
ただ、褒めればいいというわけではなく、
気を付けたい点があります。
例えば、子どもが何かが上手にできた時に
「素晴らしいね」「すごいね」というように、
子どもの存在を全体的に認め、褒める
言い方があります。
これは効果的に見えるのですが、かえって
子どもを傷つける可能性もあります。
「あなたは素晴らしい」と全体的に
認められた時は、子どももうれしいかも
しれません。
ただ、うまくいかなかった時に、それまで
全体的に褒められていただけに、逆に
全体的に否定されたように感じることが
あるのです。
つまり「私は素晴らしい人間」から、
いきなり、「私は駄目な人間」だと
捉えてしまう場合があります。
幼い時は親が守ってくれるので、多くの
場合は大丈夫ですが、幼稚園・保育所、
小学校といった集団生活が始まれば、
そうはいきません。
友達や先生との関係などで、うまくいかない
ことが何度も起きます。
そうした時に、全体的に褒められて育った子は、
傷つきやすい側面があるのです。
複数の誇りで意欲的に
子どもが良い行いをした時には、子どもの
全体を褒めるのではなく、例えば、
「走るのが速い」
「プラモデル作りがうまい」などと
具体的にできたことについて認めていく
褒めていくことが大事だと思います。
具体的にできたことを褒められることで、
子どもはそのことが自分の「誇り」になり、
「自信」になります。
どのような子どもでも褒められる部分は
いっぱいありますから、その部分を複数
見つけ、具体的に伝えていくことが大切。
自分の中に誇れる部分を複数持てると、
ある部分がうまくいかなくても、それ以外に
誇れる部分があるので、全面的に
「自分を駄目」などとは思わずに、また
挑戦しようと意欲的になれるからです。
例えば「プラモデル作りがうまい」と
思っていた子が、ある時、
うまくいかなかったとします。
日頃から親に「足が速い」とか、などと
言われていた子は、プラモデル作り以外にも
誇り、自信があるので、落ち込む度合いが
低いでしょう。
「今回はうまくいかなくても、
次にうまくできるかもしれない」
と物事をポジティブに考えることができます。
失敗で物おじしない子に
複数の誇りがあれば、一つのことで
失敗しても自分の他の良さが支えてくれる。
一方で具体的な誇りを複数持てずに
育った子は、一つのことで失敗すると自分が
全面的にダメだと捉えてしまいやすいので、
新しいことに挑戦する意欲も湧きずらいという
面があり、失敗を恐れてしまいます。
子どものさまざまな良さを具体的に複数、
褒めることが、子ども自身の新しい体験を増やし、
成長を促すことにつながります。
毎日一緒にいる親子では、良さ以上に
悪い所が目について、叱る回数が増えて
しまいがちです。
悪い所を指摘し、叱るのがいけないわけでは
ありません。
子どもが成長していく段階では非常に大事です。
褒めるだけではうまくいかないこともありますから。
ただ、叱る時も、してはいけないことを
「具体的に伝えること」が大事だと思います。
単に「駄目!」と否定するだけではなく、
「このようにした方がいい」と具体的な指示をした
出してあげたいものです。
どんな子どもも繰り返し具体的にいわれないと、
何をすればいいのか分からないものなのです。
具体的に指示を出して叱れば、その行動ができる
ようになった時に褒めることができます。
叱ることから褒めることへの転換が自然と
されていくのです。
子どもが幼児期から積み重ねた複数の
「自分の良さ」の誇りは、子ども個人の心に
作られた“安全基地„だともいえます。
これがあることで、たとえ一時的に失敗して
傷ついたとしても、そこから回復して、
新たなことに挑戦し、さらなる成長を遂げて
いくことができるのです。