一輪の花でも部屋に彩を添えてくれ、
心を豊かにしてくれます。
気持ちも新たに、また、気分転換にも
なりますので、自宅に花を飾って
みてはいかがでしょうか。
簡単な作業で長持ち
自宅に花を飾るのに、わざわざ花瓶を買う
必要はありません。
器さえあれば気軽に楽しむことができます。
花の大きさにもよりますが、ワイングラスや
カップ、ペットボトルでも、水を入れて
花を添えるだけでいいのです。
切り花で最も大切なポイントは、
茎の切り口です。
なぜなら、ここから水分を吸収するからです。
ところが、古い切り口のまま水に浸かって
いると、切り口に菌が付く恐れがあり、
導管(水を吸う菅)が詰まってしまいます。
そのため、茎を切り、導管を常に新鮮で、
きれいにしておくことが大切です。
そして、茎を切ったら
「すぐに」
水の中にいれる。
これを、心掛けてください。
切り口は適切な手入れをすると、
4月や5月、10月や11月ごろなら
7日から10日間ほど持ちます。
12月から3月の冬の寒い時期であれば
10日から14日ほど、6月から9月の
暑い季節でも4、5日くらいは楽しむ
ことができます。
そのため、切り花に適した環境を知り、
適切な手入れをするようにしましょう。
切り花の基本テクニック
◆切り口は新鮮に
買ったり届けられたりした花は、
まず茎を切り、新鮮な切り口にします。
その際、茎を横に切るのではなく、
斜めに切るのがポイント。
そうすることで、切り口の断面積が
大きくなり、水を吸収しやすくなるのです。
水を替えるたびに茎の先から5㍉から1㌢ほどの
ところを切って新しい切り口にしましょう。
◆水はきれいに
水は常にきれいに保っておきましょう。
そのため、花瓶の水を頻繁に交換することです。
6月から9月は、できるだけ毎日。
長くても2日に1回は水を替えましょう。
10月や11月、4月や5月は3日から
5日に1回、冬の12月から3月でも、
1週間以内に水を交換しましょう。
その際、花瓶は洗剤を使って洗います。
水に浸かっていた茎の部分もよく水洗いし、
ぬめりを落としておきましょう。
◆冷暖房の風を当てない
花に冷暖房の風が当たるのはNGです。
冷暖房の効いた部屋に置くときは、
風が当たらない場所に置きましょう。
併せて高温多湿も避け、なるべく涼しい場所に
置くようにしてください。
暖かい所、つまり、暖房が効き過ぎていたり、
日当たりがいい所などに花を置くと、
長持ちしません。
◆葉や小さいつぼみは適度に取る
切り花は、根が無くなっているため、
茎の切り口しか水分を吸収できません。
もし、つぼみが多いと、その分、多くの栄養や
水分を必要とします。
そのため、たくさんの葉が付いていると、
葉から蒸発すろ水分が多くなり、元気が
なくなり、しおれてしまいます。
そのため、小さすぎるつぼみは取るようにし、
適度に葉も摘むようにしましょう。
特に葉が水に浸かってしまっていたら、
水が腐る原因になります。
※ 専用のハサミを使用
切り花は、花と器さえあれば楽しめますが、
その上でハサミだけは専用の道具を
用意するといいでしょう。
ハサミは茎を切るのに必要ですが、
切り花は切り口が命です。
茎の中にある導管から水を吸収するので、
切り口が潰れてしまうと、水を吸い上げる
ことができません。
専用のハサミではない一般的なハサミだと、
茎を切ることはできますが、切り口が
潰れてしまい、導管がふさがってしまいます。
そうすると、せっかく新しい切り口にしても、
水を吸い上げることができません。
是非、専用のハサミを使用することを
お勧めします。
水揚げの方法
切り花は、茎の切り口から花の先まで、
十分に水分が行き届いていないと、
しおれてしまいます。
そうした状態を
「水が下がっている」といい、逆に
水が行きわたりシャキッとしている状態を
「水が上がっている」といいます。
そして、水を吸収させてシャキッとさせる
ことを「水揚げ」といいます。
花の種類によって水揚げの方法がありますので、
基本的なやり方を紹介します。
◇ 水切り
ほとんど全ての花に効果があるオーソドックスな
方法です。
水をためたボウルやバケツなどに茎の部分を入れ、
水に浸したまま切ります。
根元から3㌢ほどの所を斜めになるように
刃を当て、水中で勢いよく切り、5秒以上、
水中に沈めておきます。
水の中できるのは、切り口の乾燥を防ぐためと、
切り口に水圧をかけて、水を吸い上げやすく
するためです。
そのため、流水では効果がありません。
◇ 水折り
細めの枝ものやキク科、リンドウ科の花、
カーネーションやユキヤナギなどの花に
効果がある方法です。
やり方は、茎を水中に浸したまま、根元から
5㌢ほど上の部分に、親指を当てて折ります。
そのまま5秒以上、水中に沈めておきます。
折ることによって茎の先がほぐれて断面積が
大きくなり、吸水力がたかまります。
もし一度に折れなくても茎に裂け目ができれば、
そのままねじって切ります。
繊維がささくれていても、それだけ水に
接する面積が広くなるため吸水力が高まります。
◇ 湯上げ
水を吸い上げる力が弱い花や、茎を切ると
白い液体が出て導管をふさいでしまう
花に有効です。
例えば、ダリヤ、ワレモコウ、ブルースター
などです。
やり方は、水の入った花瓶とお湯(80℃~100℃)
を用意します。
次に、花や葉に湯気が当たらないように、
根元を10㌢ほど残して新聞紙でしっかりと
くるみます。
続いて、茎の先が均等の長さになるように
斜めに切り、切り口をお湯に3、4㌢ほど
浸し、漬けた部分が鮮やかな緑色に
なればOKです。
目安としては、30秒ほどです。
このとき、くるんでいる新聞がお湯に
漬からないように気を付けましょう。
お湯からだしたら、すぐに水に入れます。
1、2時間ほど経過したら新聞を外し、
花瓶に飾りましょう。
◇ 根元割り
枝ものは、手で折って切り口が
ささくれるのが一番ですが、
折れないときは、根元割りをしましょう。
これは、桜や桃、梅など、枝もの
全般に有効です。
まず茎をハサミで斜めに切った後
さらに、茎に縦に切れ目を入れます。
ハサミを入れたままグイグイと左右に
開き、裂け目を広げます。
切り込みを入れても口が開いていないと
水を吸収できませんので、しっかりと
切り口を開けるようにしましょう。
枝が太い場合は、十字になるように、
もう一度、茎を縦に割っても結構です。
■しおれているのが
直らなかったら・・・・・
水切りをして1時間以上置いても花が
元気にならなければ、水が十分に
上がっていないといえます。
その場合の対処法を紹介します。
まず、テーブルに半分に折った新聞を広げ、
その上にしおれている花を置きます。
その際、花の形を整えましょう。
しおれていると、花は下を向いていますが、
上向きに整えてあげるのです。
次に新聞で花をクルクルとくるんでいきます。
その際、茎の先が10㌢くらい新聞から
出るようにしましょう。
新聞を巻き終えたらセロハンテープで
2、3カ所留めて固定します。
こうすることで、新聞がギブスの役割を
果たしてくれます。
上向きにしたときに新聞の中で花が
グラグラせず、上を向いていればOKです。
続いて、茎を斜めに切ってすぐに水の
入った花瓶に入れましょう。
しおれている状態は、茎に菌が詰まって
いることも多いので、茎は長めに
切るといいでしょう。
花瓶に入れたら、そのまま涼しい所に置き、
1、2時間ほどしたら新聞を外してみて
花がシャキッとしているか確認しましょう。
花がフラフラするようなら、新聞をまき直し
茎を切り、さらに2時間ほど待ちます。
そうすれば、たいてい、花は復活するでしょう。
こんな手当も
それでも、花がグッタリしていれば、
もう一手間かけてみましょう。
茎の根元を逆さに持ち、葉の裏側だけに
霧吹きで水を掛けます。
その時、なるべく花には水が掛からないように
注意してください。
その後、先ほどのように新聞の上に形を
整えて置き、クルクルと巻きます。
ここでは花瓶の水の量がポイント。
この場合は、花瓶にたっぷりと水を
入れておきます。
そこに花を入れるのです。
その際、新聞が水に漬かってもかまいませんが
花びらは水に漬からないようにしてください。
そして最低でも2時間、できれば4から5時間ほど
そのままにしておきます。
その後、新聞を外し、花瓶の水をたっぷり入れて
生けてください。
これで様子を見ましょう。