“仕事や勉強を頑張ろう”と思っても、ボーっとして集中力が続かない
そんな人は、積極的に「仮眠」を取るのもいいのではないでしょうか。
上手に仮眠を取ることで頭も体もスッキリするので、ベストの力を
発揮できるようになります。
仮眠で頭も体もスッキリ
睡眠不足の悪影響
睡眠は個人差がありますが、一日平均7時間は必要とされています。
睡眠を2時間削ると“ほろ酔い”の状態と同程度に脳の働きが
落ちるという調査結果もあります。
仕事や勉強、スポーツなどでも、睡眠不足の状態では、とても
本来の力は発揮することはできません。
また、睡眠不足になると免疫力が落ち、病気になりやすくなったり、
感情をコントロールできずにイライラしたり、ホルモンのバランスが
崩れて食事の量が増え、肥満になりやすくなったりと、悪影響です。
戦略的な昼寝は常識
健全な生活を送るためには夜の睡眠が重要ですが、毎日十分な
睡眠時間を確保できるとは限りません。
ただ、上手に仮眠を取り入れ、いつでもベストな状態で力を発揮
できるように努力することは可能です。
欧米のビジネス界では昼寝の効果が広く認められており、もはや常識に。
米航空宇宙局(NASA)には、「26分間の仮眠を取るとパイロットの
能力が34%以上も向上する」との研究結果があります。
“10分の昼寝は、夜の睡眠1時間分に相当する”といわれるほど、
仮眠の効果は絶大でう。
ただし、日本では、まだ欧米ほど理解が広まっていませんので、
特に職場で昼休みなどに仮眠を取る場合、職場環境や周囲の状況など
よく考慮する必要があるでしょう。
仮眠後に力を発揮
座ったままリラックス
無理に眠ろうとすると、気持ちが高ぶり逆効果。
“眠れなくても目を閉じてリラックスしよう”と、気楽に。
仮眠の目的は、あくまで「仮眠後に力を発揮すること」です。
深い眠りにつかないことも大切なポイントです。
そのためにも、仮眠は座ったまま取ります。
リクライニングする場合も、完全に横にならないようにしましょう。
机に伏せて寝るか、もしくは椅子にもたれて休みます。
腕は胸の前で組むか、机の上などに置きます。
足の裏はしっかり床に着けて態勢を安定させます。
可能であれば少し暗い場所・静かな場所に移動する、アイマスクや
耳栓を利用するなどの工夫も効果的です。
直前にはコーヒーを
パワー・ナップの後、気持ちよく目覚めるためにお勧めしたいのが、
寝る前にコーヒーなどカフェインを含む飲み物を取る
「コーヒー・ナップ」です。
コーヒーを飲んでからカフェインの覚醒効果が現れるまで
20~30分かかります。
直前にコーヒーなどを飲むことで、目覚めた後、ベストな状態に
戻しやすくなります。
また、寝る前に目覚ましをセットしたり、“○分で起きるぞ”と
強く意識したりするなど、必要以上に眠りすぎない努力も大切。
起きた後は、「背伸びをして、大きなあくびをする」
「(雨の日でも)外の光に当たる」
「水で顔を洗う」なども有効。
いち早く脳も体もスッキリできます。
長すぎると不健全に
仮眠は「30分以上取らない」ことが重要です。
30分以上寝ると「睡眠慣性」が強く働くため、起きた後も眠気が
続き本来のパフォーマンスに戻るまで時間がかかってしまいます。
また、「シエスタ」と呼ばれる昼寝の習慣がある地域の調査によると、
20分以下の昼寝を取る習慣がある人は、心筋梗塞の確率が低下しますが、
一方で昼寝を45分取る人は1.3倍に、90分の人は1.7倍に確率が
上がってしまうとのデータがあります。
適度な仮眠は、健康的で充実した生活の一助となりますが、長すぎる仮眠は
逆に健康を損なう恐れもあるので注意が必要です。
仮眠時間の取り方
1分を数回、20分1回
仮眠は時間の長さによって、さまざまな
取り方があります。
具体的には、一日の中で「1分の仮眠を数回」と
「20分の仮眠を1回」取り入れることを推奨します。
【 ナノ・ナップ 】(一瞬~数秒)
睡眠不足がピークに達すると、起きているつもりなのに一瞬ガクッと
眠りに落ちる「マイクロ・スリープ」という現象が起きます。
これを意図的に起こすのがナノ・ナップ(ナップ=仮眠)です。
強い眠気を感じた時には、座ったまま力を抜いて数秒、目を
閉じてみましょう。
たとえ眠れなかったとしても、視覚情報を遮断することで
リフレッシュ効果があります。
【 マイクロ・ナップ 】(1分~数分)
生活の中で、ごく短時間の仮眠を繰り返し取るとよいでしょう。
強い眠気に襲われる前に取るのがポイントです。
ミスが増えたり、考えがまとまらなくなったりしたときが、
仮眠を取るタイミングです。
たった1分で眠気が解消するわけではありませんが、ベストな
力を発揮し続けるために“いつでも、どこでも仮眠を取る”
という意識を持つことが大切です。
【 ミニ・ナップ 】(10分)
電車などの移動時間や小休憩の際には、約10分の
仮眠を取るとよいでしょう。
「10分以上の仮眠で、眠気や疲労感は減少し、活気が充実する」
という客観的データもあります。
【 パワー・ナップ 】(20分)
可能であれば日課にしたいのが、正午から午後3時の間に20分の
仮眠を取る「パワー・ナップ」です。
午前7~8時に起きる人は、夜寝る時以外に、午後2~4時に
眠気のピークを迎えます。
たとえ昼食を取らなかったとしても同様です。
パワー・ナップで眠気を先取り・解消し、午後の活力を蓄えましょう。
【 ホリデー・ナップ 】(90分)
「寝だめ」をすることはできませんが、睡眠不足を補うことは可能です。
睡眠不足解消のために、休日などたまには長めに昼寝をしてもいいでしょう。
その際は「ノンレム睡眠」「レム睡眠」を繰り返す睡眠のリズムを活用し、
90分の昼寝を取るようにします。
ただ、夜眠れなくなっては意味がありません。
午後3時までには起きるようにしましょう。