近年、いじめの問題がニュース等でよく報道されている。
文科省の調査によると、全国の小中高校などでの2016年度の
いじめの認知件数が、32万3808件にのぼり、前年度よりも
10万件の増加になっている。
急増したのは、いじめを積極的に見つける対応が進んでいる
ことも大きい要因になっている。
いじめ問題に何が大切か。
加速する前にブレーキを
いじめの実態はさまざまですが、テレビで報道されるような
激しいいじめは、いきなり起きるのではありません。
最初は1対1で、ちょっとした言葉でからかったり、小突いたり
することから始まります。
クラスからちょっとのけものにされたり、人気のない役割を
押し付けたり、はたから見ると、ふざけ合っているように見えます。
ただ、そうしたことが徐々に定着化して、次第に1対1でなく、
1対2、1対3でからかわれるように。
こうしてエスカレートしていくのです。
ブレーキ役の先生やクラスの友達などがいないと、いじめは加速し、
手が付けられない状況に陥ってしまいます。
大切なことは、ちょっとからかわれたり、小突かれたりした時、
子どもが苦しいなと感じているのであれば、その時点で先生や友達が
注意して、止めさせることです。
些細なことでも、本人が嫌がることはしない。
そうしたクラスの環境作りが、いじめを防いでいくのではないかと。
いじめ防止対策推進法には、いじめを
「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義しています。
目に見える具体的な暴力を受けていなくても、本人が苦痛を
感じていたら、いじめとして対処する必要があります。
集団で行う深刻ないじめに発展しないためには、予防がなにより大切。
些細なことでも、大人が情報共有し、連携を強化して子どもを
守る必要があると思います。
相談できる子は悩みが軽くなる
もう一つ大切なことは、子ども自身が何かあった時に相談できる
「つながる先」を持つことです。
いじめられて苦しい時に、孤立して一人で悩むのではなく、誰かに
話を聞いてもらえると、大きな力になります。
ある市の調査では、誰かに相談できる子どもほど、いじめの悩みが
軽くなるという結果が実際に出ています。
いじめられた時の相談先で一番多いのは、小学生は「親・先生」
中学生は「友人・知人」です。
いじめを経験した子どもで、学校の先生に相談したことがあるのは
全体の4割ほど。
そのうち7割の子が「いじめがなくなった」「少なくなった」とも
答えている。
先生が適切に関わることで、ある程度の割合でいじめが少なくなる
ことが分かっています。
いじめ問題は、まず学校の先生が適切に関わっていくことが大切。
両親や先生、友人にもなかなか相談できないという子どももいます。
そのために、国や民間団体などが、子どもの相談を受け付ける
電話を開設しています。
最近は、相談ツールとして、LINEを使うところもあります。
このようにつながる先や避難先を複数確保していくことも重要。
こうした相談先の情報は、いじめを受けている・受けていないに
かかわらず、全ての子どもにとって必要な情報だと思います。
なぜなら、中学生になると、相談先として「友人・知人」が
一番多くなるため、いじめを相談された時、または、いじめられている
友人を見つけた時に、具体的にどのような対応をすればよいのか、
子ども自身が知っておく必要があるからです。
家庭はゆっくり休める場所に
子どもの様子の変化に気付き、心配な点があれば、早めに先生に
相談し、対応を考えたいものです。
複数の大人が情報を共有し、連携を密にすることが解決につながります。
また、いじめを受けている子にとっては、自分の気持ちに寄り添って
くれる家族や大人がいること、ゆっくり「休む場所」「避難できる場所」が
あることが何よりの力になります。
学校のストレスを家庭で解放できるような、居心地のよい家庭環境作りも
心掛けていきたいものです。
相談窓口
〈 電話 〉
◇ 子ども専用(18まで)
● チャイルドライン(民間団体)
0120-99-7777(通話無料)月~土・16時~21時
(東京・埼玉・愛知など一部地域は毎日16時~21時)
年末年始は除く
◇ 子ども・保護者向け
● 24時間子供SOSダイヤル(国)
0120-0-78310(通話無料)24時間対応
● 子どもの人権110番(国)
0120-007-110(通話無料)
平日8時30分~17時15分
〈 ウェブ 〉
●インターネット人権相談受付窓口(国)
ホームページより相談を受付してメールにて回答
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html
● ストップいじめ!ナビ(民間団体)
ホームページに相談先情報やいじめから脱出するための
情報を子どもと大人向けに掲載