現代人の“隠れ栄養失調”は、極端な
ダイエットに限らず、食べ物自体の
栄養成分の変化など原因はさまざま。
野菜は、切り方で栄養効果が変わります。
栄養を損なわない“切り方のコツ”を
ご存知でしょうか?
「食べる=身の付く」ではない!
◆ 加齢で栄養吸収率が低下
現代人はしっかり食べていても、体に届く
調理でなければ“隠れ栄養失調”に
なる可能性があります。
その原因の一つが、野菜の栄養価の激減。
「日本食品標準成分表」で1950年と
2005年を比較すると、
にんじんのビタミンAは81%減、
アスパラガスのビタミンB2は50%減、
キャベツのビタミンCは49%減、
ほうれん草の鉄分は85%減。
同じ量の栄養を取るのに昔の何倍も
食べなくてはならない計算です。
とはいえ、そんなに食べられませんから、
少しでも効率よく取りたいところ。
でも、年齢を重ねると、残念ながら運動
能力と同じように栄養吸収率も落ちて
しまうんです。
ビタミンの吸収率のピークは20歳。
40~60代で20~30%にまで低下します。
カルシウムは元々体への吸収が難しい栄養素の
一つで、10代でも40%、20~30代で30%
40~50代で20%、60代になると10%に。
体をつくる材料となるタンパク質のアミノ酸は、
40代以上で30%以下に。
食事代わりにお菓子を食べるなど偏食傾向のある
若い人は、既に体に何かしら影響が出ている
のではないでしょうか。?
厚生労働省によると20代のビタミンや
ミネラルは3~5割不足とか。
栄養が足りないままで10年、20年と年を
重ねていくと、将来的に健康バランスや
寿命に大きく影響してくると思います。
◆ 切り方ひとつで変わる
野菜は、切り方ひとつで栄養効果が
グンと上がります。
時に10倍もの差がつくことも。
また肉とは違って収穫後も生きているため、
置いておくと葉が出たり、芽や根が生えたりする。
その箇所は野菜が生きようとする「生長点」。
ココを放っておくと、栄養がどんどん減って
しまうので、購入後は生長点をくりぬいたり、
切り分けたりすることが大切です。
ムダなく効率良く吸収するために
◆ 損せず栄養を取るポイント
☆ ピーマン
繊維に沿った縦切りで栄養をゲット。
苦み成分はポリフェノールやピラジンで
血液サラサラや毒素排出、高血圧予防、
頭皮の血行促進、美肌効果などが
期待できます。
ワタと種には皮の10倍も含まれ、
熱を加えれば食べられるので、
捨てずに調理を。
切るのは調理の前でも後でもOK。
おススメは甘みを引き出す丸ごと焼きです。
※ 栄養を逃さないのは縦切り!
縦切りはシャキシャキ感と
独特の苦みアリ。
輪切りは苦味と栄養素は抜けるが、
食感は軟らかく生食向き。
☆ ニンジン
中心部から外側に栄養を送るので、皮と
その近くが栄養価が高く、中心には
ほとんどありません。
βカロテンは、生で食べると吸収率は
8%ですが、加熱すると2倍以上、
油を使うと70%に。
調理法でかなり差がつきます。
※ 中心部の栄養素はほぼゼロ!
皮ごと食べると、中心部より
βカロテン2.5倍、
ポリフェノールは4倍に!
輪切りや乱切りがおすすめ。
☆ ニラ
根元に多い疲労回復効果の高いアリシンは、
みじん切りで活性化させ10分以内に
食べるとベスト。
豚肉などのビタミンB1の吸収率を10倍
アップさせる働きがあり、一緒に取ると◎。
葉先のビタミンA、C、Eを吸収するには、
調理直前に洗い、大きく切ること。
※ 部位で切り方を変えないと栄養が
25%台無しに!
根元には、葉先の4倍のアリシンが。
活性化させるには、できるだけ細かく
切ること。
葉先はざく切りに。
☆ ブロッコリー
栄養価がとても高いのですが劣化が
早いので、買ってすぐ食べるのが基本。
4万個以上ある花蕾の含有成分の
スルフォラファンには、がん抑制効果が
期待されています。
その成分を十分に活性化させるには、
切って4~5分放置してから調理を。
熱にも強くなります。
茎もビタミンCやβカロテンが豊富なので、
捨てずに食べましょう。
※ 成長点「花蕾」をまずカット!
常温ならビタミンCは3日で半減。
その前に食べない場合は花蕾の
ある房部分をカットし、栄養を
少しでもキープ。
茎のビタミンCはミカンの4倍!
☆ タマネギ
アリシンには、血液サラサラ効果、代謝促進、
美肌効果などが期待されますが、切って
水にさらすと、水溶性ビタミンと一緒に
流出してしまいます。
切ったら10分ほど放置を。
アリシンが元気に活性化します。
また、あめ色まで炒め過ぎると、ビタミンは
ほぼゼロに!
※ 細かく刻む&水にさらさない!
細かく刻むほどアリシンをゲットできる。
まず繊維と垂直に切ってからみじん切りに
すると、切りやすい。
☆ キャベツ
ビタミンCが最も多いのは、緑が濃い外側の
葉なので、むき過ぎないように。
空気に触れると酸化するので大きめに
切るのがお得。
次に多いのが芯の周辺。
実はキャベツはカルシウムも豊富で、
その吸収を助けるビタミンKも含むため、
吸収率は牛乳と同程度です。
※ ビタミンCが多いのは外側の葉!
外葉の栄養は破壊しないようざく切りに。
成長点の芯は、くりぬいてスープにすると
溶け出すビタミンCも取れる。
☆ リンゴ
栄養満点のリンゴは85%が水分、残り
15%の実や皮にカルシウムやビタミンCが
含まれています。
これをいかに食べるのかがポイント。
皮をむき縦切りにすると、栄養が一番
詰まっている部分を捨てることに。
皮ごと横切りでたべれば捨てる部分は
1/8以下になります。
※ 「スターカット」でビタミンEが
4倍取れる!
食べられないのは毒性のある種だけ。
スライスすれば、手軽な上に、皮を
むいた縦切りより4倍の栄養をゲット!
◆ 体が変わっていく食べ方を
野菜は収穫した時点から日に日に栄養価が
下がるので、買ったらすぐに食べるのが
ベストです。
さらに洗い方、切り方、ゆで方、焼き方、
炒め方、組み合わせ、保存方法など、
ちょっとしたコツで取れる栄養が劇的に
変わります。
例えば、ダイエットで油を取らず肌が
カサついて「美肌にいいビタミンを」と、
ニンジンにノンオイルドレッシングを
かけて食べる。
これだと改善されない可能性大。
βカロテンは油がないとうまく
吸収されません。
野菜スティックにマヨネーズ、サラダに
オリーブオイル、というのは理に
かなっているんです。
偏りなく食べることはもちろん、どういう
食べ方がいいかを知ることも大切です。
「食べているから大丈夫」ではなく、
せっかくならお得に栄養を取り込んで、
健康に役立てていきたいものです。