認知症

認知症のケアにつながるヒント

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認知症になった親や配偶者を自宅で介護する際、

家族は何を心掛けるといいのか?

徘徊や弄便(便いじり)など介護者には

理解しがたい“問題行動”があっても、

在宅介護を楽に続ける工夫を。

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思い込みや誤解をなくそう

◇ 嫌がることはしない

認知症に限らず、在宅介護は真面目に

取り組むほど、介護者が追い詰められる

ことが少なくありません。

自宅で「介護は、こうあるべき」と

いった思い込みに縛られている人は、

まず、その思いから自分を解放

しましょう。

そもそも、介護とは何か。

医療の目的が、病気を治すことだとしたら

介護の目的は、治らない病気や障がいの

ある人の暮らしをどう支えるか。

医療の対象が「人体」なら、介護の対象は、

その人の生きがいや幸せも考えるので

「人生」と言えると思います。

人生も、介護も十人十色。

一つに縛られず、要介護者と自分との間で

最適な方法を、創意工夫しながら

見つけていけばいいのではないでしょうか。

ただ、医療は「患者」が相手ですが、

介護は「生活者」が相手です。

忘れてならないのは、主人公は

“介護される側の老人”だという点。

介護の「介」は、老人が主人公になるための

“媒介の介”とも言えるでしょう。

老人の生活歴や趣味などを基にした創意工夫が

「介護」ですが、いい介護の秘訣は、

「老人が嫌がることをしない」という

シンプルなことです。

これができると、要介護者は穏やかに

なるものです。

それは単純に、本人の言う「自己決定」の

尊重ではありません。

断れやすい入浴やトイレ等を介護者との

「共同決定」で、いかに誘導するかが

大事なのです。

◇ 異常ではなく異文化

現在の日本は「長寿」という人類の

夢をかなえた国、と言えるでしょう。

でも長生きをすれば誰でも老い、

体も精神も機能低下低下します。

昔は「ぼけ」と呼ばれて年相応と

されたものが、今では「認知症」として

病気扱いに。

介護では「認知症は病気」と思わない

方がいいです。

なぜなら介護者が「認知症は病気」と

思うほど、薬や医療にだけ頼ってしまい

“寄り添う介護”から遠くなりがちだから。

認知症とは「老化に伴う人間的な変化」であり

物忘れや見当識障害
(ここはどこで、今はいつか、
    自分は誰かが分からなくなること)

でも、人として暮らせる方法が求め

られているのです。

「認知症は異文化」と見方を変えること。

日本人と外国人とで習慣が異なるのを

イメージすると、考えやすいでしょう。

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認知症による“問題行動”があっても

自分が「正常」で相手が「異常」とは言えず、

「異文化」なのです。

実際、介護者が常識にとらわれて腹を立てても

解決しないことが多いと思います。

大事なのは、お互い“対等な人間”で

あるということ。

差別や偏見をなくして相手を理解しようと

することが、要介護者との

コミュニケーションの第一歩になります。

◇ 愛情のあるウソで

徘徊などの問題行動の対応には、介護者が

相手の世界に入り込むことが大切です。

こんな例があります。

認知症の90歳のある男性は元公務員。

夜中にスーツを着始めたので、介護する

娘さんが訳を聞くと「会議がある」との

答えが。

そこで娘さんは

「じゃあ、ネクタイもしないとね」と言い、

時間をかけて締めてあげたそうです。

そして玄関では

「靴を磨き忘れたから、待って」と

ゆっくりと靴を磨き、父親が靴を

履いたところで「お帰りなさい」と

声かけを。

すると父親は、自分が今、帰宅したところだと

思い、靴を脱いで部屋に戻ったと言います。

愛情のあるウソで、相手の世界に寄り

添った上手な例です。

演じる上で重要なのは「臨機応変」と

「時間稼ぎ」です。

認知症の人は頭の中で時間と場所を自在に

移動するので、介護者もすぐ切り替えないと

不安にさせてしまいます。

でも時間がたつと、相手も“何か変だな”と

自分で気付いて、現実に戻りたくなるもの。

事例にある最後の「場面転換」は効果的です。

◇ 必要なのは人間学

介護で「弄便」を見ると、人格が崩壊したと

ショックを受ける人もいます。

いかし、弄便の主な原因は、おむつの中の

便が不快だから。

手で便を取り除いたら、手が汚れて不快になり、

壁などで拭いたと考えられます。

不快を本能的に避け、満足を得ようとする欲求は

「快・不快の原則」と言われます。

赤ちゃんなら、おむつが汚れても手が届かないので

泣いて訴えますが、大人は手が届くので自ら

取り除こうとするのです。

人格の崩壊ではなく、赤ちゃんへの回帰です。

朝食後は必ずトイレに行くなど、排せつケアを

徹底すると弄便は減らすことができます。

世間では認知症の介護の大変さばかり問題視

される今、

私たちは何に目を向けるべきでしょうか。

「老い」は病気ではなく、誰にでも訪れる

可能性のある「認知症」と、いかに向き合うか

必要なのは「人間学」だと思います。

人間とは何か。

その広くて深い領域から、認知症の人への

希望あふれる新たな関わり方が

見えてくるでしょう。

生活とリハビリ研究所
http://www.mdn.ne.jp/~rihaken/

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