お父さん・お母さん世代と、
おじいちゃん・おばあちゃん世代の
育児の常識が異なり、公論に・・・。
そんな事態にならないよう、変化を
続ける育児の新常識について?
現在の“ベスト„を探す
現代と違って、何でもすぐに情報が手に
入らなかった時代に“子どものため„という
一心で情報を集めてきた祖父母世代。
「その考え方は古い」なんて言われたら
自分たちがやってきたことを否定された
ようで、カチンときて当然です。
育児の常識は、日進月歩で見直され
続けるもの。
住宅環境も栄養事情も、科学的な研究結果も
変わる中で、いつの時代も、その時の
“ベストの育児”を探し続けています。
お互いを否定する必要は全くありません。
今は、こう言われているということを
知る中で、現在のベストを選ぶことが
大事なのではないでしょうか。
◆
「子育て=しつけ」との観点から、
“甘えはよくない„と、
意見がぶつかることも。
そんなときは、「甘やかすこと」と
「甘えさせること」を分けて考えることが
大切なのではないでしょうか。
甘やかすというのは、子どもができる
ことを親が干渉し過ぎることや、物質的な
欲求にすぐ応えてしまうこと。
これは、ほどほどにしたいところです。
一方で、甘えさせるというのは、愛情を
求める気持ちを全力で受け止めること。
スキンシップの時間を大事にしたり、
子どもがどうしてもできないことを
手伝ってあげたりすることです。
そうすることで、子どもの自己肯定感は
育まれ、自立の芽生えにつながるのです。
◆
祖父母が育児に関わってくれることの
メリットはたくさんあります。
共働き世帯が増える中で、祖父母の
サポートほどありがたいものはありません。
特に都市部では、地域のつながりも薄く、
孤独な子育てになりがち。
祖父母の協力が加わることで負担は軽減され、
さらに育児の幅も広がります。
子どもにとっても、親以外の大人との関係を
築くことができる大事な機会になります。
いろいろな人がいて、いろいろな考えが
あるという多様性が育まれるのです。
変化を続ける常識
◇ 9歳まで膝の上
抱き癖がつくから、赤ちゃんが泣くたびに
抱っこするのは、やめた方がいいといわれて
きましたが、今では逆に、泣いたらすぐに
抱っこして安心させてあげるべきと
いわれています。
科学的な研究も進み、スキンシップにより
愛情や信頼を育むホルモン
「オキシトシン」が分泌されることも
分かってきました。
「『つ』が付くうちは膝の上」とも
いわれます。
「九つ(9歳)」くらいまでは、
甘えさせてあげるという気持ちで、
子どもの感情を受け止めてあげてほしいと
思います。
◇ 欲しがったら授乳
授乳について、以前は
「3時間置きがよい」といわれてきましたが、
赤ちゃんによっても、飲む量・頻度が
異なるため、「欲しがったら授乳する」
という考え方に。
お母さんが疲れてしまったり、おっぱいが
出にくかったりと、さまざまな事情が
あるので、“母乳じゃないとダメ„と
思う必要はありません。
現在のミルクは研究が進み、とても優秀です。
上手に活用しましょう。
また、かつては母子手帳に
「1歳までに断乳の完了」という
記載がありましたが、現在は、自然と
おっぱいから離れていくまで授乳する
「卒乳」という考え方が主流になっています。
◇ 果汁はいらない!
かつて母子手帳に、離乳食の準備期間として
「果汁を飲ませていますか?」という
記載がありましたが、これも研究が進み、
削除されました。
今は、乳児の栄養摂取は、基本的には母乳や
ミルクだけで十分だといわれています。
お母さん自身の栄養事情にも変化が。
「妊婦さんは2倍食べなさい」と
いわれていましたが、それは今よりずっと
栄養が乏しかった時代の話。
逆に現在は「妊婦肥満症」に気を付け
ましょうといわれるほど。
2倍の食事なんてとったら、すぐに
カロリーオーバーになってしまいます。
◇ 危険なうつぶせ寝
子どもの健康を守るため、変化した常識も
少なくありません。
「頭の形がよくなる」「寝付きがよくなる」
などの理由から、うつぶせ寝をさせていた
こともありましたが、乳幼児突然死症候群の
(SIDS)
リスクが高まるとの観点から、現在では、
厚生労働省も「あおむけ」を推奨しています。
また、くる病(ビタミンD欠乏症)予防のため、
かつては日光浴が推奨されましたが、
紫外線量の増加に伴い、1988年以降は
「日光浴」の
表記が母子手帳から削除されました。
帽子などで直射日光は避けつつ、外気や
温度差に慣らす「外気浴」が勧められる
ようになりました。
◇ 虫歯は大人から
虫歯は大人からうつるということが
分かっています。
大人が食べ物をかみ砕いてあげるなんて、
もっての外。
自分の食べている物をあげたり、箸や
スプーン、コップを共有したりすることも
虫歯がうつる原因になります。
3歳までに虫歯にならないように、
努力することがポイント。
“乳歯は生え変わるから大丈夫„と
考えるのは大きな間違いです。
また、母乳をあげ続けると、虫歯に
なりやすいといわれることもありますが、
母乳自体に問題があるわけではありません。
食べ残しがある状況で、添い乳をして
寝ることが、虫歯の原因となるようです。
◇ 子どものペースで
昔は、おむつは1歳前後で取れるように
するのが常識でしたが、最近は、2~4歳
まで外れないケースも珍しくありません。
洗濯の大変な布おむつがメインだった
ころに比べ、紙おむつの機能は向上し、
おむつ替えは楽になり、赤ちゃんも快適に。
大事なのは、子どもにとっても、親にとっても、
“早く取らなきゃ„と、プレッシャーに
ならないこと。
子どものペースに合わせて、焦らずにおむつ
卒業を進めることが一般的になっています。
また「歩行器で歩くトレーニングを」と
考える方もいますが、歩行器はあくまで
“オモチャ„として使うもの。
歩行の訓練として最も大事なのは、全身の
筋肉を使うハイハイです。
ハイハイをする期間が長いほどよいという
研究もあるほどです。