家の外と内とをつなぐ玄関の周辺は、
汚れやすい場所であるとともに、
訪問者を迎える「家の顔」としての
面も持っています。
そんな玄関周りのお手入れのアドバイス。
家の印象を決める場所を美しく
◆ 限られたスペースを無駄なく使う
建物の正面に設けられた出入り口
である玄関。
知人や、仲の良い友人などが家を
訪れた際、最初に目にするところであり、
家の第一印象を決める場所でもあります。
その半面、玄関周りは狭く、収納する
ものでいっぱい。
下駄箱に靴や傘を入れたり、
ポールハンガーやコートフックに
コートや帽子を掛けたり。
また、最近は災害時のために
「非常持ち出し袋」を置いている
家庭もあります。
多くの機能を果たす割りには、スペースが
小さいというのが実情です。
海外なら、家の中まで靴を履いたまま
入るため、室内のクローゼットに靴を
しまうこともできます。
しかし、日本に住む私たちは、玄関で
靴を脱ぐ習慣があります。
しかも、現代はマンションなど集合住宅に
住む家庭も多く、玄関とは別の勝手口を
持ちません。
そのため、家人と訪問客とが同じ場所に
靴を置くなどして、ますますスペースが
狭くなってしまいます。
こうした課題を解決し、靴の収納数を
アップさせるには、並べ方を工夫すること。
収納量を重視するなら、靴を高さ別に
分けることがお勧めです。
無駄なスペースを作らないため、棚板を
靴の高さに合わせなどの調整を行います。
使いやすさも同時に考えるなら、
子ども、妻、夫などの人別にしたり、
使用頻度別、季節などに分けたりして
収納する選択も。
その場合、げた箱の扉の開き方や
使い方に従って取り出しやすい位置と
そうでない位置とを確認し、収納場所を
決めていくと便利です。
整理整頓のため、備え付けの物以外に
新たにげた箱を購入する場合は、
置く位置にも注意。
土間である「たたき」に置くと、
砂などで部屋が汚れるのを防ぐことが
できますが、靴を取り出しにくい
難点があります。
一方、部屋に置くと靴は取り出しやすい
半面、砂などを室内に持ち込みやすく
なるので注意しましょう。
げた箱の掃除の際、砂や泥、ほこりなどを
定期的に履き出すことはもちろんですが、
除湿や消臭、換気に気を配ることが大切。
扉を閉めた玄関は臭いがこもりやすい上、
履いていた靴には、汗などが意外に
付いているもの。
夏の靴には特に汗が付着しており、
臭いに加えて傷みやすくなっています。
また、げた箱の奥にしまったまま忘れて
いる物があることもあります。
ラインや色、素材がそろうとキレイ
「家の顔」である玄関周りは、たとえ
狭くても、キレイのしたいもの。
人は、ラインや色、素材がそろっている
ものを美しいと感じます。
ものの見え方をそろえることができれば、
その空間は片付いて見えます。
ものの配置をそろえる例として
「グリッド法則」といわれるもにも、
その応用例の一つ。
壁に写真やハガキ、雑誌の切り抜き、
子どもの作品などをピンナップするときは、
外枠のラインをそろえます。
大きさが違うものでも、まとまり感が出て、
キレイに見えます。
「家の顔を美しく」アドバイス
◇ 捨てやすいものから処分
げた箱は家族皆が共同で使うスペースです。
それぞれが思い思いにしまっていると、
家族の靴が入り乱れてしまい、あちこちの
段に靴が散らばってしまいます。
見栄えはもちろん、誰がどんな靴を何足
しまっているか、分かりにくくなります。
そこで、げた箱の靴をいったん取り出して
それぞれの靴の使用状況をチェックして
みましょう。
中には、古びてしまい修理しても履けない
靴、サイズが合わない子どもの靴など、
持っている必要がないものも見つかる
かもしれません。
他に、靴擦れができて履かなくなったり、
服装に合わなくなったりといった理由で
残っていた靴が紛れていることも。
捨てやすい靴から処分して、数を
減らしましょう。
また、修理に出す靴を袋に入れて準備して
おくことも、げた箱のスペース確保と、
履ける靴の数を増やす点からも便利です。
◇ もう一つ収納場所を作る
収納する場所をげた箱以外にもう
一ヵ所増やす手もあります。
例えば、押し入れやクローゼット、
納戸の一角などに靴がしまえるように
スペースを作ります。
げた箱には、日常的によく履く
靴を中心に収納。
冠婚葬祭の靴や季節外の靴は、別の場所に
しまうといった使い分けをします。
その際、靴用の箱やケースに入れて、
積み重ねができるようにしておくと便利。
靴箱は、買った時のものでもいいですが、
サイズがまちまちなので、市販のシューズ
ケースを使うのがお勧めです。
ケースは中身が見える方がいいですが、
中身が見えない場合は、正面にラベルを
貼って中身が分かるように
しておきましょう。
なお、別の場所にしまったことが分かる
ように、靴のリストを紙などに書いて
げた箱に入れておくか、収納の扉の裏に
貼っておくと、うっかり忘れてしまう
ことを防げます。
◇ げた箱の段数を増やす
げた箱内の使い方を工夫することで、
収納量を増やすことができます。
げた箱内は、棚板の間隔を詰めることで、
数段分増やせる場合があります。
棚板自体はホームセンターなどで板を
購入して、指定のサイズにカットして
もらうこともできます。
棚板を固定するフックなどの留め具が
ない場合、突っ張り棒を2本、平行に
渡して、その上に棚板を乗せると
動きません。
また、2本の突っ張り棒自身をそのまま
棚代わりにして、パンプスのかかとなどに
引っ掛けても収納力アップを図ることが
できます。
◇ コの字ラックの活用
収納用品を使うなどして靴の並び方を
変える方法もあります。
靴の一組を上下に重ねてしまえる専用
ホルダーを使うことで、1足分のスペースに
2足置くことができます。
また「コ」の字の形をした「コの字ラック」を
使って、棚の一部だけ段を増やせば、高い
ブーツや長靴の横に普段履きの靴を複数段
置くことができます。
ハイヒールなどには市販のZ型ホルダーが便利。
ただし、取り出す時にひと手間掛かるので、
よく履く靴は普通に置き、あまり履かない
靴にZ型ホルダーを用いるなど、使い分け
するといいでしょう。
◇ 傘の収納
雨傘や日傘は折り畳んだ時の長さや形状が
さまざまで収納は意外と大変です。
げた箱に縦長の空間が確保できるようなら、
傘の収納に活用できます。
その際、段違いに突っ張り棒を渡し、
奥に長傘、手前に折り畳み傘を吊り下げると
両方の傘を視界に入れることができます。
しっかり乾かしてからでないと、げた箱に
湿気を持ち込むことになってしまいます。
玄関にあまりスペースがない場合、
省スペースタイプの傘立てを使いましょう。
また、げた箱の奥行きは30㌢程度が多く、
折りたたみ傘を箱に寝かしてしまうのには
ジャストサイズ。
たくさんある傘も、一つのボックスに
まとめて、そのまま収納できます。
◇ 風通ししてからしまう
その日に履いた靴はすぐにしまわず、
風を通して、湿気や臭いを飛ばして
からしまいましょう。
靴自体を長持ちさせるだけでなく、
げた箱の臭いを防ぐことになります。
風通しのための一時置き場として、
プラスチックのトレーが活用できます。
100円ショップなどで見掛ける
A4サイズのレタートレーが、ピッタリの
大きさです。
また、子どもの靴は小さいので、棚に
しまう時、同じ棚の前後や上下に
押し込まれた状態になってしまいます。
型崩れが気にならないものは、
プラスチックケース等にひとまとめに
して、ケースごと出し入れすれば、
棚の中でごちゃつくことがありません。
サンダルや上履きなど気軽な履物は、
巾着ケースなどに入れて、げた箱の
扉の裏につるしておくと、そのまま
持ち出せて便利です。
◇ コートのハンガー
戸外で着用していた帽子やコート、
マフラーなどを玄関のハンガーに
掛ける家庭もあるでしょう。
家の中にほこりや細かい砂を入れたくない
花粉症に悩む場合ではなおさらです。
スタンドタイプのポールハンガーなどを
使うと、限られた玄関スペースがさらに
狭くなってしまいます。
壁面取付けタイプのコートフックなら、
そんな悩みも解決。
事前に壁の素材や強度をチェックして
おきましょう。
◇ 外遊びのオモチャ
子どもの外遊びのオモチャは、玄関の
1カ所にまとめておくと便利です。
大きなオモチャは、専用のボックスに
入れましょう。
水や泥汚れが付くので、汚れてもいい
素材、洗える素材の収納ボックスを
選びます。
持ち手が付いていたら、そのまま車に
乗せて、公園や海辺などへも出掛ける
ことができます。
ボールなどのこまごましたオモチャは
袋にまとめ、げた箱の脇に取り付けた
フックにつるします。
片付けの習慣を付けさせたいなら、
子どもの手が届く位置にセッティング
しましょう。
遊ぶときは、そのまま持ち出せます。