世界的IT企業が導入し、高い成果を
上げていることで話題の
「マインドフルネス」。
簡単に説明すると、ゆっくり
深く呼吸しながら瞑想することで
得られるストレスコントロールの一種。
自分の感情に気付くこと
■ 心の状態に気付かず、ストレスを
ため込んでいる方が多いのでは?
日本人はと言うと短絡的ですが
「人に迷惑をかけない」という
他者優先の文化で、割と
自己主張しません。
「私は~」と主張し過ぎると
「空気が読めない」「ワガママ」と
排除されたり浮いてしまったりするので、
自分の気持ちを抑える傾向が。
すると、表出しない感情は退化します。
退化なので無くなるのではなく、
感じにくくなる。
例えば「人前で泣いちゃダメ」と
言われて育った男性は「悲しい」という
感情を抑え込もうとするため、
悲しさを感じにくくなる方が結構います。
「自分の感情がつかめない」とは、
自分がどのくらい傷つき、つらいのか
分からない状態。
例えば、人から嫌みを言われても
こんなことで落ち込んじゃダメ。私が悪いと
その時どう感じたかを見つめず、心にふたを
して前向きに頑張り続ける。
それが限界値に達した時、やっと
「私、こんなに傷ついてたんだ」と
気付くわけです。
限界値から立ち上がるのは結構大変です。
小さいうちに気付いて、その都度リカバリー
するためにも
「今の自分の状態に気付くこと」が
すごく大事です。
■ 最近疲れがとれない、
心が休まらないと気付いたら?
休みをとっても仕事のことで頭が
いっぱいで休んだ気がしない、
疲れがとれない、など慢性的な疲労感は
心身によくない状態です。
特に現代人はデスクワークやスマホを
見ることで猫背になりがち。
無意識のうちに呼吸が浅くなり、常に
緊張状態になっている可能性があります。
呼吸が浅いと不安になりやすく、
ストレスや疲労感もたまりやすい。
そういう時に気持ちをリセットし、
ストレスを軽減できるのが
「マインドフルネス呼吸法」です。
脳科学の研究でも実証され、
スポーツパフォーマンスの向上や
子どもの教育プログラム、社員の
モチベーションアップや業務効率化
などで応用されています。
体と心をありのまま感じる
■ 具体的な方法は?
普段、無意識にしている呼吸に
意識を向けます。
「こうしなければならない」
ということではありません。
基本は
「4秒で吸い8秒かけて吐く」ですが、
鼻でも口でも
「自分が心地よい方法で」
自分のペースでゆっくり呼吸し、
肺が膨らむ感じや、しぼむ感じなど
「今」に集中します。
深い呼吸ができたら
「指先が冷たい」
「暖房の風で頬が温かい」など、
体の状態をありのまま感じます。
さらに、周りの空気感や聞こえてくる
音にも意識を向けます。
何回か行って慣れてきたら、
心の状態にも意識を向けてみましょう。
「もやもやする」とか「幸せだな」とか、
ありのまま感じてください。
雑念が浮かんでもかまいません。
「こんなこと考えちゃダメだ」など
思考を働かせず、今の自分をそのまま
受け入れ、見つめます。
もし不安は強くネガティブなどを次々と
考えてしまう方は「吸って、吐いて」と
呼吸に意識を向けてください。
深呼吸は副交感神経を優位にして心身を
リラックスさせますから、1分でも
いいので気楽に実践してみてください。
■ 呼吸法に慣れてきたら?
どこでもできるので、通勤時の
電車で座れた時、静かに実践してみて
ください。
短時間でもスッキリします。
また、昼休みに行えば気分転換ができ、
午後、モチベーションを保つ時間が
長くなると思います。
リラックス状態を作り出すことに慣れてきたら、
5分、10分と時間を延ばしてみましょう。
10分程度続けると、覚醒と睡眠の中間に
当たる半覚醒状態を作ることができます。
実は半覚醒状態には睡眠導入効果もあり、
この状態を経て眠りについた方が、
より良質な睡眠が得られるといわれています。
寝る前に布団の中で横になり実践したら、
寝付きが悪かったのに薬がいらなくなった
という方も。
また血圧が高い方が看護師さんと一緒に
深呼吸を行い、直後に測るとやる前より
下がっていたり。
深呼吸を繰り返すことで、自律神経が
整っていきます。
ストレスをコントロール
■ 他にストレスをためない
方法はありますか?
日本の自殺者の男女比は、
7対3で男性が多く、理由の一つに
「自分の話をしないこと」が
挙げられます。
話すことにはカタルシス効果(心の浄化作用)
があります。
抵抗がある方もいると思いますが
「愚痴を言える」のは、
心の疲れをとるポイント。
言葉を選び伝えようとするプロセスが、
得体の知れない気持ちを具体的なものに
転換する作業となり、整理されてスッキリしたり、
状況を理解できてホッとしたりします。
一方で、究極のリラックス効果を生む
「一人で過ごす時間」も必要です。
毎日でなくていいので、人と触れ合う時間と
自分の気持ちと向き合う時間を。
日記を書くなら、出来事より、どう感じたかを。
ネガティブな感情も含めて
「喜怒哀楽どの感情も等しく感じていい」
と思ってください。
ありのままの自分を受け止めることは、
結構難しいです。
他に入浴、音楽を聴く、読書、ストレッチ、
アロマ、スキンケアなど、自分が心地よいと
感じることをしながら自分のことを
考えるといいです。
マインドフルネス呼吸法
1.楽な姿勢で座り、
胸を開くため肩を外側に数回まわす。
2.肩の力を抜き、目を軽く閉じて、
1度ため息をつく。
3.鼻から大きく息を吸い、ゆっくり吐く。
呼吸に意識を集中する。
4.リズムは気にせず、
好きな長さで深呼吸を繰り返す。
5.呼吸が楽にできてきたら、
自分の体の状態に意識を集中する。
6.慣れてきたら、
心の状態にも意識を向けてみる。
7.ゆっくり目を開ける。
まとめ
何もせず、ボーッとする時も必要です。
一見、無価値に見えますが、実は価値がある。
自分なりの「ストレス解消法」を持つことを
おススメします。
1人ですること、皆で楽しむことなど、
バリエーションがあると、より良いと思います。