警察発表によると、犯罪の被害を
受けた19歳以下の認知件数(平成28年)は
自転車盗難などの窃盗が85.7%を占めました。
その他、暴行や傷害、強制わいせつの被害に
あっています。
子どもの防犯対策に意識を高めたいものです。
環境づくりと意識をもつことが大切
◆ 認知件数では窃盗がトップ
窃盗が発覚しやすいのは、子どもが親に申告
しやすく、親も盗難されたことを発見しやすいため、
認知されているといえます。
暴行や傷害、強制わいせつは、心にずっと
傷が残ります。
恐喝も、相手が学校の知り合いだったり、身近な
人であればあるほど、親に伝えづらくなります。
そのため、認知件数が少なくても、それ以上に
被害が多いと考えられます。
◆ 時間帯と場所に注意
一般的には、午後2時から同6時ごろに犯罪が
発生しています。
これは、下校から夕食までの時間帯で帰宅後、
塾などの習い事に通う時間でもあります。
最近では朝の登校時の被害も増えています。
このことから「一人で行動する時間帯」が
最も危険であるといえます。
防犯上、できる限り一人で遊ばない、
1人にならないようにしましょう。
被害に遭う場所は、約5割が駐車場や
駐輪場です。
これは、マンションやコンビニ、スーパー、
ゲームセンターなどの駐車場・駐輪場です。
主な被害は、窃盗ですが、強盗や傷害も多く、
略取・誘拐は道路上で多く発生しています。
自転車を置く前に周囲を見回すことを
習慣付け、それらの場所では遊ばないように
しましょう。
また、止まっている車の中に引っ張り込まれる
という被害もありますので、駐車している車の
中に人がいたら、場合によっては、できる限り
離れて歩くなどして、気を付けるよう。
◆ 不在を知らせない
最近は防犯意識の高まりから、一戸建ての
住宅でもホームセキュリティーや防犯カメラを
設置する家庭が増え、マンションでも防犯カメラに
加え1階でのオートロックが主流となっています。
大切なのは、そうした機器に加えて
「防犯意識を持ち続けること」です。
オートロックのマンションでも、実際に犯罪は
起こっています。
オートロックでも、他の住人と一緒に入ってくる
ことができるのです。
高層階でも、ベランダの無施錠の窓からの侵入被害が
多く、必ずロックすることが最低限必要です。
クレセント錠(引っ掛けるタイプの施錠)は
防犯力が脆弱なため、補助錠を付けるといいでしょう。
特にマンションで気を付けたいのは、
「知らない人をいかに家の中に入れないか」
ということです。
子どもの留守番中に不審者が侵入しても、
一戸建て住宅であれば窓やベランダのように、
複数の箇所から逃げられますが、マンションは
玄関の一ヵ所しかありません。
エレベーターの中や降りたとき、ドアを開け、
家の中に入るときなど、知らない人が周囲に
いないか確認し、用心することが大切です。
また、どんなことがあってもドアを開けないと
決めておくのも、一つの防犯対策です。
開けざるを得ない場合でもチェーンを常にかけて
対応することを徹底しましょう。
特に宅配便や設備点検などを装って訪問し、
玄関を開けさせるケースがあります。
留守番の際に対応する場合
「お父さんが手を離せないと言っています」と
伝えドアを開けないなど、訪問があっても、
親が不在であることを言わないようにしましょう。
家族のルールを決めておこう
子どもを犯罪から守るには、日頃の生活の中で
防犯を意識付けていくことが大切です。
自分の身を自分で守るためにも、家族での
ルールを作りましょう。
① 「行き先」を告げる帰りの際の連絡も
子どもが遊びに行くときなど、必ず、
「誰と」「どこで」
「何をするか」「いつ帰ってくるか」を
確認するようにしましょう。
親が不在でも、メモ書きを残してもらう
などの工夫を。
子どもが携帯電話やスマートフォンを
持っていれば、日常的にやり取りしている
ツール(メールやLINEなど)で知らせて
もらうようにしてください。
併せて、習い事などから帰るときも連絡を
もらうようにしましょう。
その際「気を付けてね」など、必ず反応して
あげてください。
反応しないことが多いと、
“見ていない”“気にしていない”と
思ってしまい、連絡がおろそかになってきます。
“親が気にしてくれている”という安心感が、
何か起こったときに報告してもらえる信頼へと
つながるのです。
② 知らない人について行かない
「知らない人」というのは、
「名前を呼ばれても、これまで見たことがない人」
と、具体的に説明しましょう。
また、「甘い言葉について行かない」
「知らない人の車には、
どんな理由があっても絶対に乗らない」
ことを確認してください。
犯罪者は、
「お母さんがケガしたから病院に一緒に行こう」
「○○までの場所を教えて」などの
言い回しで声を掛けてきます。
「家族に聞いてから」と言うようにしましょう。
「○○ちゃん」と声をかけられると
「知らない人ではない」と思ってしまいがちです。
ランドセルなど、人目に付く場所に名前を
書くのは避けるべきです。
また、表札などで親の名前を確認して、
「お母さんの○○さんが」と言って近づいてくる
ケースもあるので、注意が必要です。
最近はSNSでプライベートを公開している
場合もあり、そうした内容から知り合いを装って
くることもあります。
プライバシーを特定する内容や子どもの顔写真、
旅行日程などをアップしないことも大切です。
③ 防犯ブザーを使う
万一、何かあったら防犯ブザーをちゅうちょなく使う。
ホイッスルでも構いません。
ブザーは持っているだけではダメで、使い方を
教えてください。
ランドセルやカバンの中に入れておくのではなく、
すぐ使える場所に付けておくことが大切です。
また、大声を出すために、布団をかぶって、
おなかの中から声を出すなどの練習して
おくといいです。
「助けて」「警察を呼んで」など、
具体的に何を叫ぶかも教えておきましょう。
④ 何かあったら必ず言う
危険な目に遭ったり、変な人がいたら、
必ず、
「今日、こんなことがあった」と
家族に話してもらえるようにしましょう。
しかし子どもは、被害に遭っても、
“言ったらよくないのでは”
“言うと叱られるのでは”と
恐れて親に話せないことも多いのです。
中には「親に言ってはいけない」と
脅迫まがいにきつくいわれている
ケースもあります。
被害にショックを受けて言葉に出せない
こともあるでしょう。
そのために、日頃からのコミュニケーションが
大切で、どんなことでも話してもらえる関係性や
雰囲気をつくっておくことが大事です。
安全マップを一緒に作成
子どもの行動範囲で
「死角」になる場所を子ども自身が
把握しておくことが必要です。
それには
「安全マップ」を
一緒に作成するといいでしょう。
簡単な地図でいいので、どこがどう危険
なのかを実際に歩いてチェックし、
地図に書き込んでおくのです。
地図を作らなくても、実際に一緒に見て
回るだけでも防犯意識は変わります。
具体的には登下校や塾への道、
よく行く公園、人が少なく一人に
なりやすい場所、車の往来が激しい所など。
「ここへは近づかないようにね」
「ここは暗い道だから、たとえ近道で
あっても絶対に通らないこと」と
注意しながら確認してください。
また、不審者に声を掛けられたときに
逃げ込む先も明確にしておきます。
例えば、必ず人がいるコンビニやスーパー、
病院です。
また、「子ども110番」のマークを貼っている
家や店を知っておくことも大切です。
これは、子どもを犯罪から守ってくれる
民間協力の商店や民家などです。
地域によって名称やマークが異なりますが
それぞれのマークが張り出されていますので、
場所を確認して、どのように助けを求めるかを
子どもに指導してください。
もちろん、最寄りの交番も調べておきましょう。
まとめ
◆ 防犯カメラの過信は禁物 ◆
最近では、町の中や公園に防犯カメラが
設置されている所が多くあります。
しかし、警備員などが常に監視していれば
いいのですが、録画しているだけのカメラが
多いのが実情です。
カメラがあることで抑止効果があっても、実際に
犯罪は起こっています。
録画によって、犯罪がいつ、どのように起こったか
記録されるとはいえ、事後確認が中心です。
防犯カメラを過信することなく、自らの身を守る
ために防犯の意識を高く持つことが大切なのです。