生理(月経)、妊娠、出産など女性の一生を
支えるといわれる「女性ホルモン」。
30代前半までは安定して分泌され、
バランスよく働きますが、生活習慣の
乱れや睡眠不足、ストレスが重なると、
ホルモンバランスが崩れ、心身に不調を
来します。
働き盛りの女性向けに、
「ホルモンバランスを整えるポイント」
働き盛りの女性が気を付けたい
◆ 女性ホルモンって何?
そもそも「ホルモン」は、
体内の情報伝達物質の一つで、体の健康を
維持するために働きます。
脳の視床下部が下垂体を経由して各臓器に
ホルモン分泌の指令を出し、分泌促進や
抑制といった調整も行っています。
女性ホルモンには、
エストロゲン(卵胞ホルモン)と
プロゲステロン(黄体ホルモン)の
2種類があります。
思春期から分泌が盛んになり、20代後半で
ピークに達します。
エストロゲンは乳房を豊かにしたり、
肌や髪の毛を艶やかにしたりする働きがあり、
通称“美のホルモン”と呼ばれます。
プロゲステロンは子宮内膜をふかふかに
するなど、妊娠や出産に関する働きを担い
“母のホルモン”と呼ばれます。
これらのホルモンは主に卵巣で作られ、
月経周期に合わせて分泌量が変動します。
例えば、排卵後はプロゲステロンが
優位になり、体を“守る”働きをします。
体を休ませようと眠くなったり、皮膚を
保護するために皮脂の分泌が過剰に
なったりするため、肌のトラブルが
起きやすくなります。
反対に整理後はエストロゲンが優位に働き、
肌の調子が良くなります。
◆ 不調サインを見逃さない
脳の視床下部は、女性ホルモンの他に、
自律神経の司令塔でもあります。
そのため、ストレスで腦にダメージが加わると
自律神経が乱れ、連動して女性ホルモンの
バランスも崩れてしまいます。
仕事のプレッシャーや職場の人間関係といった
ストレスから、生理不順や生理痛といった
トラブルが起こるのはそのためです。
一方で、寝る直前までスマートフォンを見たり、
休日に寝だめをしたりといった、不規則な生活で
自らストレスを引き起こしている場合も少なく
ありません。
心身の健康のためにストレスをためないよう、
睡眠、食事に気を付けながら、リラックスできる
時間を持つことが大切です。
また、生理は心と体の“健康バロメーター”です。
生理痛がひどい、生理が来ないなどの症状があれば、
そのままにせず婦人科で相談してみてください。
大切な体を自分で守れるよう、月経周期をしっかり
把握し、不調サインを見逃さないようにしましょう。
コントロールのポイント
【 入浴 】
忙しくてもシャワーで済ませるのではなく、
しっかりと湯船に漬かりましょう。
体が芯まで温まり、血流が促進されます。
血流は、全身に栄養を行き渡らせるライフライン。
血流がよくなることでホルモンバランスが
整います。
リラックス効果で自律神経も整い、
冷えも改善できます。
《入浴のポイント》
就寝の1時間半前まで
20~30分程度
38~40度前後のぬるめのお湯
【 睡眠 】
睡眠もストレスを軽減させる絶好の機会です。
良質な睡眠をとるためには、寝る直前まで
スマートフォンを触るのはNG。
画面からの光で交感神経が刺激され、深い眠りに
就くことができません。
せめて就寝の1時間半前からは、スマートフォンを
見ないようにしましょう。
また、不規則な睡眠リズムは時差ぼけを引き起こし
不調の原因になります。
どうしても夜寝るのが遅くなる時でも、朝の起床は
一定の時間に。
休日に寝坊をしても1時間までにしましょう。
【 食事 】
無理なダイエットや偏った食事は、心身の健康に
影響を及ぼし、ホルモンバランスを崩す原因。
バランスの良い食事を心掛けましょう。
タンパク質と脂質は、女性ホルモンの原料となります。
シソ油、アマニ油などに豊富に含まれるオメガ3系の
脂肪酸は、細胞の質を高める効果があります。
オリーブオイルなどに含まれるオメガ9系の脂肪酸は、
悪玉コレステロールを下げる作用があるので、
上手に活用しましょう。
良質な油を取り入れることで体の調子が整い、
ホルモンバランスも安定します。
さらに女性は、毎月の月経で鉄分が不足しがちです。
鉄分を多く含むホウレンソウやレバーなどの食材を、
意識して取り入れましょう。
鉄分は、セロトニンという幸せを感じるホルモンの
材料にもなり、心の安定にもつながります。
【 リラックス 】
ストレスフルな状態では交感神経が優位になり、
常に緊張状態です。
血管が縮まり、体の血流も悪くなります。
何も考えずにボーッとしたり趣味を楽しんだりと、
自分のための時間を作りましょう。
他にも、ゆったりとしたワンピースやチュニックなど、
締め付けの少ない服装にすると緊張がほぐれます。
また、口角を上げて笑顔を作ると、自然と楽しい気分に。
日々の生活に少しでも取り入れてみてください。
こんなことありませんか?
当てはまる項目をチェック!
□ やる気が起きない
□ 月経不順
□ 肩こり、冷え性
□ 肌荒れに悩んでいる
□ 職場や人間関係に
イライラすることが多い
□ 昼夜逆転の生活をしている
□ 甘いものが好きでよく食べている
□ 湯船に漬かっていない
□ 寝る直前までスマートフォンを
いじっている
チェック項目が多いほど、ホルモンバランスが
乱れている可能性が高くなります。
まとめ
一生のうちに分泌される女性ホルモンの量は、
ティースプーン1杯ほど。
微量で作用するため、過剰も不足も体にとって
よくありません。
女性ホルモンが十分に機能するよう、意識して
ホルモンバランスを整える生活習慣を心掛けましょう。