古くから日本の食文化を支えてきた昆布。
だしとしても多用され、栄養も豊富。
その上、縁起物としても使われてきました。
昆布の種類や特徴、魅力などを少し
まとめてみました。
主な種類と特徴
日本で食用されている昆布は約90%が
北海道産で、他に青森県、岩手県、宮城県の
三陸海岸沿いで採れます。
「羅臼昆布」や「日高昆布」など、一度は
名前を聞いたことがあると思いますが、
それらの種類は産地によって区分され、
くち当たりや使い方、形も異なります。
【 真昆布 】
函館沿岸で採れ、厚みがあり幅が
広いのが特徴。
上品な甘味に加え、澄み切ったバランスの
いいだしが取れます。
だし以外にも、つくだ煮や塩昆布などにも
利用されます。
その形のよさから、結納品などの飾りにも
用いられます。
【 羅臼昆布 】
羅臼沿岸が産地。
真昆布と並ぶ高級品で、香りがよく黄色みを
帯びた濃厚でこくのあるだしが出ます。
だしとして使うほか、つくだ煮にも
使用されます。
【 利尻昆布 】
利尻島や礼文島、稚内沿岸で採れる昆布。
真昆布に比べやや硬め。
透明で風味の良いだしが取れます。
そのため、お吸い物や会席料理などでよく
使われます。
だし以外に、塩昆布や湯豆腐にも使われます。
【 日高昆布 】
三石昆布ともいわれ、日高沿岸で収穫される
昆布です。
表面は濃い緑に黒みを帯びており、柔らかく
煮えやすいため調理しやすい特徴があります。
また、つくだ煮やおでんなどでも用いられて
います。
【 長昆布 】
釧路や根室沿岸で取れ、長さ6㍍から15㍍
にもなる昆布。
生産量が最も多く、加工品をはじめ、
おでんなどでも使われます。
【 厚葉昆布 】
長昆布と同様に、釧路や根室沿岸に生育。
葉に厚みがあり、酢昆布や昆布巻きに
使われます。
【 細布昆布 】(細目昆布)
北海道の日本海沿岸が産地で、幅が細く
切り口が白い昆布。
強い粘りがあるため、とろろ昆布や
納豆昆布に使用されます。
【 ガゴメ昆布 】
函館沿岸に生育。
表面に籠の編み目のような模様があり、
粘りが強く、とろろ成分が多いのが特徴。
そのため、とろろ昆布や松前漬けなどに
用いられます。
栄養が豊富
昆布は栄養が豊富な食材です。
どんな成分が含んでいるのか。
≪ ミネラル ≫
カルシウム、鉄、ナトリウム、ヨウ素、
カリウムなどのミネラルが豊富なのが
特徴です。
特に、不足しがちなカルシウムは、
100㌘中の含有量が、牛乳の数倍にも
上るほどです。
≪ 水溶性食物繊維 ≫
(アルギン酸)(フコイダン)
アルギン酸やフコイダンは、海藻特有の
水溶性食物繊維で、糖質や脂質の吸収を
抑え、コレステロール値の上昇を
抑止してくれます。
アルギン酸は、塩分を効率よく排出して
くれる働きがあり、高血圧や動脈硬化の
予防効果があります。
≪ 色素成分 ≫
(フコキサンチン)
フコキサンチンは、海藻に含まれる濃い
オレンジ色した色素成分のことで、脂肪が
たまるのを抑えてくれます。
主に内臓脂肪に作用し、高めの血糖値を
下げる働きや筋肉での糖の利用を促して
くれます。
≪ うま味成分 ≫
(グルタミン酸)
昆布で取っただしにはうま味成分である
グルタミン酸がたくさん含まれています。
この成分は胃腸の働きを良くし、過食を
防いでくれます。
選び方や保存法
昆布は何を基準に選べばいいのでしょうか。
専門店に行くと、実際に品定めできる所が
ありますが、ポイントは、よく乾燥して
いて肉厚の物を選ぶといいでしょう。
その上、香りがよく緑褐色の艶やかな
ものがおススメです。
逆に、黄色っぽく艶がなかったり、黒すぎ
たりする物は、少し味が落ちてしまいます。
スーパーなどでは、カットされた昆布が
袋詰めされていて確認するのが難しいため
使用目的に合わせて選んでみてください。
保存については、乾燥している場所に
置いておくのが鉄則。
ジッパー付きの袋に入っていれば、
しっかり封をしてください。
15㌢くらいの長さに切って、缶や瓶に
保存しておくのも、後で使いやすくて
便利です。
常温でも構いませんが、冷蔵庫に入れて
おくのもいいでしょう。
だしの取り方
昆布からきちんとだしを取ることで、
本来の栄養素やうま味を堪能できます。
そこで、簡単なだしの取り方を紹介。
だしに向いている
「真昆布」「羅臼昆布」
「利尻昆布」「日高昆布」の
いずれかを使用しましょう。
〖 シンプルな「昆布だし」 〗
<材料>
昆布・・・10㌘から20㌘
※5㌢角で約2㌘です。
水・・・1㍑
<作り方>
① 固く絞った布巾などで、昆布の
表面をさっと拭く。
② 鍋に水を入れ、昆布を30分ほど浸す。
③ 中火にかける。
④ 沸騰直前で、昆布を取り出して完成。
(鍋の底が小さな泡がふつふつと
出てきたくらいのタイミング)
〖 一番だし 〗
和食に欠かせない昆布とかつお節で取るだし。
お吸い物やうどんなどに最適。
<材料>
昆布・・・10㌘から20㌘程度
かつお節・・・30㌘程度
水・・・1㍑
<作り方>
① 固く絞った布巾などで、昆布の
表面をさっと拭く。
② 鍋に水を入れ、昆布を30分ほど浸し、
その後、中火にかける。
または、弱火で40分くらいかけて煮出す。
(お湯の温度を60度ほどに保ち)
③ お湯が煮立ったらかつお節を入れて、
ひと煮立ちさせたら、すぐに火を止め、
あくを取り除く。
④ かつお節は、かき混ぜないで自然に
沈むまで待ち、布巾やキッチン
ペーパーなどでこして完成です。
〖 二番だし 〗
一番だしで使った昆布とかつお節を利用して、
さらに、だしを取る方法です。
素材や他の調味料を引き立てるので、煮物や
みそ汁に向いています。
<材料>
一番だしを取った後の昆布とかつお節
新しいかつお節・・・10㌘程度
水・・・1㍑
<作り方>
① 一番だしを取った後の昆布とかつお節
水を鍋に入れ、強火にかける。
② ひと煮立ちしたら弱火にし、そのまま
10分程度煮る。
③ 最後に新しいかつお節を加えひと煮立ち
したらすぐに火を止めあくを取り除く。
④ 昆布を取り、かつお節はかき混ぜないで
自然に沈むまで待ち、布巾やキッチン
ペーパーなどでこして完成。
◆ お手軽!昆布水
簡単にできるのが「昆布水」です。
お吸い物やみそ汁のだし、煮物などに
使えるので、常備しておくと便利です。
<材料>
昆布・・・20㌘程度
水・・・1.5㍑
昆布は2㌢から5㌢角にカットしても、
3㍉から5㍉程度に細切りしてもOKです。
<作り方>
ポットにミネラルウォーターか水道水を
注ぎ、昆布を浸す。
冷蔵庫で一晩置けば完成。
(最低でも3時間は漬けておく)
なお、できる限り、2、3日以内に使い
切りるようにしましょう。
洗ってはいけない?
昆布の表面には白い粉が付着している
ことがあります。
これは「マンニット」という、
うま味成分です。
中にはこれをカビと間違えて、洗って
しまう人がいますが、せっかくのうま味
成分が流れてしまいます。
使用する時は、固く絞った布巾で軽く
拭いてあげる程度で大丈夫です。