愛するペットとも、いつか“別れ„の
時が来ます。
飼い主として後悔しないように、
その準備はしておきたいもの。
老いた犬や猫の飼い方のポイント。
犬猫との“別れ„に備える
◆ 老化に伴った衰え
最近、イヌやネコも長寿化が進み、平均寿命は
犬が15歳、室内の飼いネコが17~18歳
程度になっているそうです。
1年が人の5、6年に相当しますが、イヌや
ネコの“成人„に要する時間はわずか1、2年。
骨の成長が止まり、あっという間に大人に
なるのです。
では、犬猫の中年・老年は何歳からか。
飼育環境や遺伝による個体差はありますが、
大型犬は2、3歳、小型犬と猫は7歳を
過ぎたら、いわば“おじさん・おばさん。
さらに大型犬は8~10歳、小型犬は
12~14歳、猫は15歳を過ぎたら
“おじいちゃん・おばあちゃん”といえます。
老化に伴って身体機能が衰え、病気に
なりやすくなるのは人と同様です。
骨粗しょう症や変形性関節症で体の動きが
悪くなることも。
犬の散歩は距離を短くして、ゆっくり歩くなど
配慮が必要です。
中には、視覚や聴覚などの五感が鈍くなった
ことで警戒心が高まり、攻撃的になる場合も。
性格が変わったというより、老化による
自然な行動の変化と見守りましょう。
一方、環境の変化には適応しにくくなるので
要注意。
例えば、飼い主の衛生面からはお勧めできませんが
犬猫と一緒に寝る習慣を、老化で排せつ機能が
低下したからといって変更すると、ペットには
大きなストレスに。
老いる前に、別の場所で寝るしつけが理想的です。
また、“認知症„になると夜泣きや徘徊などを
しますが、まずは腹が減ったのか、喉が渇いたのか、
居心地が悪いのか確認を。
優しく声を掛けたり、なでたりすると落ち着く
ことがよくあります。
◆ 最後まで命に責任
ペットにとって一番の安心材料は、
飼い主の愛情です。
扱われ方がぞんざいになればイヌやネコも
感じるもの。
飼い主がシニア世代だと、孫が誕生した時に愛情が
離れやすいので気を付けましょう。
ペットへの愛情は、病気の時に飼い主が望む
治療法にも表れます。
高度医療は高額で誰でもできるわけではありません。
でも、高齢な飼い主に多いのが、
「年だから病気で死ぬのは当然」といった考え。
諦める前に、わずかな治療で寿命が延びる場合が
あることを知ってほしいものです。
仮に、イヌやネコの寿命が1年延びたら、
人だと5、6年も長生きしたことに。
日頃から早期発見を心掛け、何か病気のサインを
見つけたら、まず獣医師に相談しましょう。
屋外で飼っている場合は、そのサインを
見落としやすいので注意が必要です。
また、ペットが元気なうちは考えたくもない
ことですが、飼い主として、
「最後まで命に責任を持った」と言える
ことが、“別れ„を迎えた後の心身に
大きく影響します。
◆ 飼い主自身が健康
かわいがってきたペットが亡くなると、
飼い主は最善を尽くしてきても
「ああしておけば良かったな」と後悔の
念に襲われます。
心にポッカリ空いた穴は、愛するペットとの
楽しかった思い出が埋めてくれるはず。
時間も必要ですが、可能ならば、新しい
ペットを飼うのも癒しになるでしょう。
ただ、世代別の犬猫の飼育率は50代が
最も多く、高齢な飼い主は
“今、飼っている犬や猫が死んだら、
新しく飼い直さない„
傾向が。
年齢的に最後まで面倒を見る自信がないのが
主な理由です。
一人暮らしの高齢者には、こうした心配で
ためらう人も少なくありません。
その際は施設で触れ合えるセラピー犬や
“猫カフェ”など、別の形で動物に癒される
暮らしを考えてもいいと思います。
また、ペットロスに陥らないよう、前もって
多頭飼いをする人もいるようでしょう。
ただし、老年の犬猫にとって若い“新入り”が
加わると、ストレスになることも。
年齢差は平均寿命の半分を限度にすることを
お勧めします。
何より大切なのは、ペットが亡くなるまで
飼い主自身が健康を保つこと。
そして自分が先に逝ったらペットをどうして
ほしいか、周囲に伝えておけると安心です。
新たな飼い主を探すには、町の動物病院を
活用するのも一つの手。
信頼できる獣医師に相談してみてください。