「オイル=太る」は昔の話。
最近はその健康効果や美容効果が
注目されています。
「食べるオイル」についていえば、
「オメガ3は体にいい」と聞いたことが
ある方も多いのでは。
どう体にいいのか。
何から取ればいいのか。
“取るべきオイル・オメガ3”
大切なのはバランス
◆ まず、脂質の役割とは?
脂質は三大栄養素の一つ。
体はどのオイルを取るかで大幅に
変化します。
それは、体を構成する60兆個以上の細胞の
細胞膜が脂質でできているから。
脳も65%が脂質、ホルモンの原料も脂質。
オイルは体への影響がとても大きいです。
中でも
「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」という
体のバランスが崩れた時、元に戻そう力する力
(免疫、自律神経、ホルモンなど内分泌)を
整える働きがオイルにはあります。
では、どの油でもいいかというと、
そうはいきません。
脂質を構成する脂肪酸には種類があり、
飽和脂肪酸は常温で固体のバターなど主に
動物性脂肪。
不飽和脂肪酸は固まりにくい植物油など。
植物油には他にファイトケミカル
(抗酸化や免疫強化を期待できる物)や
脂溶性ビタミンも含まれます。
不飽和脂肪酸はさらに
オメガ3,5,6,7,9に分類されます。
特に3,6は体の中で作れない
「必須脂肪酸」で、食で取るしかありません。
しかも、体の調子を整える重要な脂肪酸です。
◆ オメガ3と6の関係は?
リノール酸を含むオメガ6は、サラダ油や
ごま油、飲食店の業務用油、マヨネーズなど。
加工食品に多く含まれるので日本人は
過剰摂取な場合が多く、取り過ぎると
アレルギーや動脈硬化など慢性疾患の
元になります。
オメガ3の食材は限定されるので
後述しますが、3と6は相反作用で
真逆に働きます。
例えば、ケガをした時。
6は血液を凝固させ止血し、3はそれを
抑制し血液をサラサラにする。
人間には両方必要でバランスが重要。
6が過剰だと血管を流れる血液まで
固めてしまいます。
一概に油が原因とはいえませんが、
アレルギー症状は6の炎症作用が優位な状態。
6は体内の異物センサーの働きがあり、
炎症を起こして異物を知らせます。
それを受けて炎症を抑制するのが3ですが、
6が過剰だと大したことないものも異物と捉え
どんどん炎症が出てしまう。
花粉症はその状態です。
熱に強い種類も登場
◆ オメガ3の効果は?
オメガ3に含まれるα―リノレン酸は、
体内でEPA、DHAに変換されます。
期待される効果は、認知症予防、記憶力や
学習能力アップ、アレルギーや炎症疾患の
抑制、血圧低下、がんの発生・増殖抑制、
抗血栓、血中の中性脂肪の減少、精神の
安定など。
最近では3不足による記憶力低下を懸念し
EPA,DHAをサプリで飲ませる学習塾も
あるくらいです。
体内で作れないので、子どもから高齢の
方まで積極的に取る必要があります。
青魚の油にはDHAが豊富ですが、現代人は
毎日、魚は食べないし、苦手な人も多いです。
◆ そこで植物の力を借りる
オメガ3の代表的なオイルが、アニマと
えごまです。
チアシードもそうです。
加熱できず、酸化しやすく、開封後は
冷蔵保存と、続けるにはハードルが
高かったのですが、最近、加熱や常温保存
OKのサチャインチとカメリナが話題です。
一日の脂質摂取量の目安は
「体重÷2」㌘。
体重56㌔なら一日28㌘。
大さじ一杯約15㌘とすると、一日に2杯
しか取れません。
私たちが日々の食事の中で、いかに脂質を
取り過ぎているか分かりますね。
ヨーグルトや豆乳など、乳製品にも脂質は
含まれています。
ぜひ、自分が食べる油の種類と量をチェックし、
1日だと大変なので、1週間単位で目安に
近づけましょう。
まずは、
ティースプーン1日一杯のオメガ3を目標に。
6などの過剰摂取分を減らした余白に取るのが
理想です。
3と6のバランスは1対1が望ましいですが、
最初は1対2でも構いません。
同じ3でも、更年期や月経前症候群などで
悩まれている方は、アマニを。
花粉症やアレルギー症状の方は、えごまが
おススメ。
毎日の食生活の中で工夫して、習慣付けて
いただけたらと思います。
継続して食べるには
◆ オメガ3は青臭い味が独特
続かない要因の一つが「味」です。
意外と和食に合うので、青臭さを逆手にとると
おいしいですよ。
サチャインチは「干し草みたいな味」ですが、
みそ汁に入れるとコクも出て、青菜のみそ汁の
ような風味になります。
カメリナは、よりまろやか。
香味感が絹さやとか長ネギみたいで、卵焼きに
入れたりすると食べやすいです。
常温OKなので、わが家ではテーブルオイルとして、
醬油の横に置き、食事で常に取っています。
オイルは塩分も糖質もゼロなので、それらを抑える
役回りもしてくれます。
アニマ、えごまなど加熱しない食べ方は、
ヨーグルトに混ぜる、サラダのドレッシングに
混ぜる、毎朝飲む野菜ジュースに入れる、
納豆に混ぜるなど。
お勧めはアニマとバルサミコのドレッシング。
甘酸っぱさと苦味が絡み合って、とても美味しいです。
オイルを、潤滑油ではなく調味油として使って
いただきたいですね。
◆ 他にもオメガ3について
加熱OKのオイルでも揚げ物は控え、加熱もできれば
5分以内がベストです。
それでも香味感は残ります。
各商品で味が違うのは、ファイトケミカルなどの
成分の含有量の違いです。
オイルは代謝プロセスの中で肝臓との関わりが
大きく、肝臓が最大パフォーマンスを発揮するのが
昼なので、食べる時間は朝か昼が理想です。
もちろん、夜はダメということではありません。
また脂質制限など、通院されている方は医師に
相談し、指示に従って摂取してください。
購入の際の選び方は、冷蔵棚での販売が望ましい
ですが、せめて遮光ボトルに入ったもので、
製法は低温圧搾、非加熱圧搾のものを。
特にオメガ3は熱、空気、光に弱い性質があります。
購入後はアニマ、えごま、チアシードは冷蔵保存し、
開封後は1ヵ月で使い切ること。
家族で使うなら250㍉㍑くらい。
割高ですが、オイルは生鮮食品と捉えてください。
常温保存が可能なオイルも目安は1ヵ月です。
健康へのカギは、少量のオメガ3を継続して
取ること。
オイルの多様な効果を実感されることを
願っています。