炊きあがった炊飯器の蓋を開けると、ご飯がふっくら光って見える
日本人にとって炊飯は、ほぼ毎日行なう作業で食生活の基本ともいえます。
毎日のことなら、少しでも美味しいご飯を食べたいものです。
上手な炊飯に至るためのポイントを紹介。
おいしいご飯のためには
炊飯の仕方はもちろんですが、その前提として
「よい玄米」「よい精米」が大切です。
コメの食味を決めるのは、品種や栽培条件、
収穫後の乾燥、精米、炊飯などさまざま。
このうち、品種や栽培条件、乾燥などは、生産農家が関わりますが、
精米は専門店が行ない、炊飯は家庭で行うのが主流です。
最近では、玄米で購入し、家庭で精米する場合もあります。
「よい玄米は、表面につやがあり、白い粒や割れた粒が少ないことが大切」
玄米を精米するには、コイン精米機や家庭用精米機を使いますが、特に新米は
削り過ぎず、表面の「うまみ層」をある程度残す「9分づき」状態にした方が
良いそうです。
精米で削られるぬかや胚芽にはビタミンやミネラルが多いため、
手軽に炊ける「5分づき」も良いそうです。
また、白米の保管は、日光が当たらない涼しい場所が適しています。
冷蔵庫の野菜室は最適ですが、乾燥予防のため、密閉容器に入れて保管しましょう。
おいしく炊けたご飯の外観は、つやがあって、色が白く、水っぽくないことが大切。
美味しいご飯は、ほんのり香りがあり、かむと弾力と粘りがあって甘みが広がり、
のどごしがいいといわれています。
ご飯は蒸らし上がった時から30分~1時間が、最もおいしく食べられます。
保温は70度が一般的ですが、3時間以上たつとばさついておいしさを損ないます。
長時間保存する時は、冷凍保存がお勧めです。
計量や水加減の調整で甘くふっくら
主なポイント
専用カップで正確に行う
コメの計量には、専用の計量カップを使う場合が多いと思いますが、
ポイントは正確に計量すること。
割りばしなどで、サッとすり切ります。
1合のカップには150㌘のコメが入りますが、山盛りにしたり、
押し込んだりすると、コメの量が多くなり、ご飯が硬くなる原因です。
30回かき回した後、2、3回すすぐ
最初に、たっぷりの水で手早くかき混ぜ、素早く水を捨てて、洗い流します。
とぎ方は、指を軽く広げた状態で、コメを水の中で泳がせるように30回くらい
かき回し、その後2~3回すすいで完了。
とぎ過ぎると、白米の表面のうまみ層が流れてしまうため、透明になるまで
とぐ必要はありません。
新米はコメの組織が柔らかいため、コメが割れたり、香りが失われやすくなったり
するので、やさしくとぐとよいでしょう。
炊飯器の釜でとぐと内釜が傷みやすいため、ボウルなどでとぐといいでしょう。
目盛りは目安、コメの状態で判断
といだ後の水加減は、コメの容量の1.2倍、またはコメの重さの1.5倍とされています。
ただしこれは、あくまでも目安です。
新米は組織が柔らかいため吸水しやすく、水は少なめにするといいでしょう。
コメの乾燥状態や品質で水加減は異なるので、お米を専門にしている店舗に
相談したほうがいいでしょう。
炊飯器の目盛りは、全国で最も普及しているコシヒカリが基準です。
目盛りはあくまでも目安として、お好みに合った水加減に調整しましょう。
不十分だと芯が残るので注意!
といで加水した後は、コメをしばらく水に浸します。
白米の浸水時間は60~120分程度を目安に。
冬場は120分、夏場は60分が基本になります。
コメは初めの30分間で急速に吸水し、時間の経過とともに吸い方が弱くなります。
また、コメの吸水は白米は胚芽が落ちた部分から水が入ります。
しかし、玄米や分づき米は、胚芽が邪魔をするため、表面全体から少しずつ吸水します。
そのため、浸水時間を長くする必要があります。
最近の炊飯器のほとんどは、炊飯工程に浸水が含まれています。
マニュアルを確認しましょう。
また、ご飯が最もおいしく炊くことができる量は、炊飯器の最大量の8割程度。
釜いっぱいで炊くのは“張り釜”といわれ、熱がうまく対流できず、
おいしく炊けません。
ご飯をふっくらさせるために不可欠
加熱終了後のご飯は水っぽく、内部には芯が残っていますが、蒸らすことで芯まで
熱が通り、粒全体がふっくらします。
最近は、蒸らしが炊飯工程に含まれているので、炊飯終了のメロディーが鳴るなど
した場合は、素早くふたを開けてほぐしましょう。
余分な水分を飛ばし、つやを出す
蒸らした後、早めに蓋を開けないと中の蒸気が冷えて水滴になり、
ご飯がべちゃべちゃになってしまいます。
ご飯をほぐす時、しゃもじで十字に切り、釜の底からひっくり返すように混ぜます。
ご飯を潰さないように、切るようにほぐすことが大切です。
ご飯が外気に触れることで、つやがあり、歯応えの良いご飯になります。
精米で出たぬかの利用法は?
玄米を白米に精米する過程で生まれるぬか。
古くから漬物のぬか床などに利用されてきましたが、
他にもこんな利用法があります。
ミネラルやビタミンを比較的多く含むぬか。
その成分を生かし、フライパンで煎った後、みそ汁に入れるなどする家庭も。
また、洗剤として利用したり、掃除に用いたりする場合もあるようです。