心身共にリフレッシュできる入浴には
多くの効果がある半面、子どもにとって
気を付けるべき点もあります。
入浴のメリットや子どもへの注意点など。
湯船に漬かるメリット
① 温熱作用
温かいお湯に入ることで、血流が良くなり、
体の隅々まで温かい血液が巡るので、
体の芯までぽかぽかしてきます。
血液によって酸素や栄養素があらゆる
所まで運ばれることで、新陳代謝が
活発になり、疲労回復にもつながるのです。
この温熱作用は、湯船に漬かることで発揮
され、シャワーでは効果が弱いといえます。
② 静水圧作用
湯船の中では体に水圧がかかるので、全身が
マッサージされたような状態になり、血流が
よくなります。
静水圧作用は、シャワーでは得られず、
全身浴でこそ発揮されます。
③ 浮力
水に漬かることで浮力が働きます。
実際に首まで湯船に漬かった場合、お湯の
中での体重は約10分の1になります。
そのため、筋肉の余計な緊張がなくなり、
体全体がリラックスし、疲れの解消を促進
してくれるのです。
温度による効果
お湯の温度によっても効果が変わります。
それを上手に利用するといいでしょう。
体には自律神経という神経があります。
自分の意志とは関係なく、自動的に内臓
などの体の働きを調整してくれるもので、
その中に交感神経と副交感神経の相反する
神経があります。
この二つがバランスを取りながら健康を
維持しているのです。
交感神経は「闘争(逃走)神経」ともいい、
人間の心身を、これから狩猟にでも行くような
興奮状態にします。
副交感神経は休息やリラックス状態にさせる
神経です。
お風呂に入った際のお湯の温度によって、
この真逆な二つの神経の反応が現れます。
個人差はありますが、42度以上の熱い
お湯に入ると、交感神経が刺激され、
40度程度のぬるいお湯に浸かれば、
副交感神経が作用します。
この働きを知っていれば、例えば受験生で
あれば、あと2、3時間は勉強したいという
場合は、熱めのお湯に短時間入ることで、
交感神経を高ぶらせて気持ちをシャキッと
させることができるのです。
反対に、明日に疲れを残さず早く眠りたい
場合は、気分を落ち着かせるために、
ぬるめのお湯にゆっくりと漬かり副交感神経を
作用させる。
このように、自分の生活や心身の状態に合わせて、
入浴することができるのです。
知っておきたい正しい順番
安全で効果的な入浴のために、正しい順番が
あります。
大切なポイントは、入る前にコップ1杯以上の
水分を取っておくことです。
入浴時間にもよりますが、お風呂では多くの
汗をかきます。
子どもの場合でも、湯船で遊んだりしている
うちに多くの汗を出しているのです。
水やお茶でも構いませんが、体への吸収が
早いスポーツドリンク等のイオン飲料が
おススメ。
かけ湯をしてから全身浴をします。
お湯に浸かっている時間を決めずに、汗が
にじんできたら湯船から出ます。
また、親が子どもと一緒に入浴している時は、
子どもの体が赤くなりすぎていないか、よく
チェックしてあげてください。
汗をかくのは、上昇し過ぎている体温を
下げるためで、皮膚が赤くなっているのは、
体が熱くなっているサインなのです。
スーパー銭湯に行くと、子どもははしゃいで
自分の体調の変化に気付かないことがあります
ので、気を付けて見るようにしましょう。
全身浴の後に、髪や体を洗います。
お湯に浸かることで、毛穴が開き皮膚の汚れが
落ちやすくなっています。
最後にもう一度、全身浴をします。
額が汗ばんできたら浴室から出て、しっかりと
水分を補給し、休息をとりましょう。
これが、子どもと高齢者にもオススメの体に
負担をかけない入浴の順序です。
◆ 入浴の効果的な順番
1)水分を取る
2)かけ湯をする
3)全身浴
4)洗い場で髪や体を洗う
5)全身浴
6)浴室から出る
7)水分を取る
8)休息
目的に合わせリフレッシュ
◆ シャワーとの併用も
じめじめした夏は、さっとシャワーを浴びて
汗を流したいものです。
日頃は湯船に入っている人でも、梅雨から
夏にかけて、シャワーだけで済ませる人も
いるでしょう。
しかしシャワーだけだと、汗を洗い流す
ことはできても、入浴することで得られる
温熱や静水圧の効果は無く、疲労回復の
働きも少ないといえます。
オススメなのは、中高生であればクラブ
活動を終え帰宅した後、小さい子どもでも
汗をかいて帰ってきたら、シャワーを浴びて
体の汗を流すようにしてください。
必ずしもせっけんを使って洗う必要はなく、
温水でさっと流す程度で構いません。
そうすれば「あせも」の予防にも
なります。
そして、寝る1時間半前を目安にしっかりと
湯船に入るようにするのです。
お湯に漬かり、入浴本来の効果である
疲労回復を図り一日を終えるのです。
さらには、体がぽかぽかした状態から徐々に
体温が下がる時に眠気を催すので、良い
睡眠につながります。
◆ あといくつ数えなさいはNG
肩まで漬からないと体が温まらない・・・
そう思っている人も多いのでは
ないでしょうか。
また、湯船から出ようとするこどもに、
「あといくつ数えなさい」と言う
親もいると思います。
これは、銭湯通いの人が多かった時代に
湯冷めをしないための工夫でした。
昨今は、自宅に浴室がある家庭が多いので、
そこまでしなくて結構です。
全身浴ができなくても、肩まで入らず、
湯船の中で立って遊んでいるだけでも、
半身浴になり、血流が良くなって、
体も十分に温まるのです。
湯船から出るタイミングも、子どもが
出たがるタイミングに合わせてください。
逆に、大人の感覚に合わせて湯船に
長く入らせておくと、のぼせたり脱水を
起こす恐れがあります。
◆ 注意点は「高い温度」と「目を離さない」
子どもが入浴する際に注意したい点があります。
一つ目は、湯船の温度を高くし過ぎないという
ことです。
小学校低学年くらいまでの子どもの場合、
お湯の温度は、38度から40度ほどに
してください。
細かく温度設定ができない場合は、大人の
心地よい感覚より少し低めの温度に
しましょう。
大人にはぬるいと感じるかもしれませんが、
年齢が上がるにつれて温度に対する感覚が
鈍くなるので、子どもにとっては、
決してぬるくはありません。
子どもは体が小さい分、大人に比べて、
温まりやすいのです。
そのため、熱いお湯に入り、たくさん汗を
流してしまうと、脱水や熱中症になって
しまいます。
二つ目は、子どもから目を離さないことです。
0歳を除く10歳未満の子どもに関して、
死因の上位が「不慮の事故」で、その中には
浴室での事故も多く含まれています。
しかも、大人と一緒にいる時にも事故は
起こっているのです。
具体的には、大人が頭を洗っている時や
着替えているほんのわずかな間など、目を
離した隙に溺れてしまうといった例です。
目を離さないことが重要ですが、やむを得ない
場合は、ちょっと目を離す間だけでも
子どもに歌を歌わせておいて、溺れていないか
確認できるように工夫するといいでしょう。
◆ 入浴剤はOK
入浴剤は入浴の効果をより高めてくれます。
市販されている入浴剤は大きく分けて
「医薬部外品」と「浴用化粧品」があり、
共に法律でしっかりと規制されたもので、
子どもの肌に触れても安心です。
ただし、誤飲の恐れがあるので、保管場所
には気を付けましょう。
◆ 朝風呂は熱めでさっと
朝風呂は入り方が重要です。
体温が上がってしまうと、低下するに
したがって1時間半から2時間後くらいに
眠気が起きてしまいます。
そのため朝風呂は、熱めのお湯に短時間だけ
漬かるか、熱いシャワーで、夜にかいた汗を
流す程度にするといいでしょう。
熱いお湯によって交感神経が高まり、気分が
シャキッとします。
湯船に漬かるのであれば、一晩たったお湯は
雑菌が繁殖していますので、新しいお湯に
するといいでしょう。
◆ 強酸性や強アルカリ性の温泉は避ける
小学校中学年くあいまでの子どもが温泉に
入る際は、事前に泉質を調べておきましょう。
温泉水の酸性度が高ければ細菌やウィルス
などに対する殺菌効果があり、反対に
アルカリ度が高いと古い角質層や皮脂などを
落とす皮膚洗浄の効果が期待されます。
どちらも皮膚への作用が強い分、刺激も
強いのです。
小さい子どもは皮膚が弱い上、目に入ると
染みるので、強酸性や強アルカリ性の
温泉は避けるようにしましょう。
逆に弱酸性、弱アルカリ性、さらには
中性になるほど、
「肌に優しい温泉」となります。
なるべく中性に近い温泉を選ぶように
してください。
PH値でいうと、中性の6から7.4程度が
オススメです。